【執筆者:管理栄養士 栗本ひろみ】
ご家庭で手作りしたとんかつを保存したいときは、常温はNG、冷蔵なら数日ですが、冷凍は1ヶ月ほど日持ちするのでおすすめです。
日持ちさせるためにはスーパーで買うときの豚肉の見極めや、揚げ油の状態にも注意が必要なので、詳しく見ていきましょう。
とんかつのこと
- 作り置きの日持ちは何日くらい
- 衛生的な調理方法と揚げ油の酸化
- 揚げる前・揚げた後の冷凍保存及び上手な解凍方法
- 劣化している冷凍保存品の特徴
とんかつは衣をつける下準備が手間なので、できれば多めに作って保存していつでも食べられるようにしておきたいものです。
作り置きを日持ちさせる衛生的な調理方法、保存方法についてもご紹介します。
目次
とんかつの賞味期限|冷蔵・冷凍の日持ちは何日?
揚げる前のとんかつも、揚げたとんかつも冷蔵庫で2~3日程度、冷凍で1ヶ月程度日持ちします。
多めに作った場合は、長持ちする冷凍庫での保存がおすすめです。
揚げる前(下ごしらえ) | 揚げた後 | |
常温 | 不可 | 推奨しない |
冷蔵 (5℃以下) |
商品に記載の消費期限 | 2~3日 |
冷凍 (-18℃以下) |
3週間 | 1ヶ月 |
常温では保存できませんし、冷蔵でも数日しか日持ちしません。
常温はNG!揚げる前・揚げた後の賞味期限目安
揚げる前でも揚げた後でもとんかつは常温保存できず、冷蔵庫でも2~3日程度しか保存できません。
特に揚げる前のとんかつは生肉と同様の扱いになるので、家で下ごしらえして衣をつけたまま冷蔵保存するなら、豚肉の消費期限以内に調理して火を通す・もしくは冷凍しましょう。
ただし豚肉に限らず生鮮食品は、空気に触れると酸化が進んで風味が落ちたり雑菌やカビが付着し、温度が上がると菌類が繁殖しやすくなります。(※1)
手に取るだけでも温度が上がるので、自宅で衣をつけたものは買ってきて開封していない豚肉よりもリスクが高いです。
肉の消費期限を守ることはもちろん大切ですが、下ごしらえしたものは期限にかかわらず翌日には調理しましょう。
冷蔵庫内で肉をおくときは、温度がいちばん低い場所を選びましょう。
冷気の吹き出し口近くや氷温室、チルドルームがベストです。
加熱調理後も冷蔵では数日しか日持ちしないので、長く保存したいなら冷凍がおすすめですが、元の豚肉の状態や調理方法が悪いと、この通りの日持ちにならないこともあります。
日持ちさせるコツ|豚肉の選び方や下ごしらえの注意点
とんかつを日持ちさせるためには、新鮮な豚肉を選んで清潔に調理しなければなりません。
【 新鮮な豚肉の見極め方】
豚肉を選ぶときには色が目安になります。
肉色 | 脂肪の色 | |
新鮮 | やや灰色がかったピンク色 | 白・または乳白色 |
劣化 | 灰色が濃くなる | 黄色 |
腐敗 | 表面が粘って青っぽく光る・腐敗臭 |
肉の重なっている部分が黒ずんで見えるのは、空気に触れておらず酸化していない新鮮な状態なので心配いりません。
切りたての肉はピンク色ではなく、少し黒ずんでいるのが普通です。
【 長持ちさせるための下ごしらえ・作り方のコツ】
賞味期限を長くするためには、清潔さを保つことと鮮度のいい油を使うことが大切です。
- 食品や使用後の調理器具は常温放置NG
- 中心部分まで十分に加熱する
- 清潔な手・調理器具・食器で食べる
- 残りの食品を扱う時も清潔に、温めなおすときも十分に加熱する
細菌を増殖させないために包丁やまな板は食材別に分け、調理器具は食材を使用する度に熱湯をかけて殺菌しましょう。
また、次のような状態の油は酸化しているので使わないようにしてください。
- 色が濃く・褐色になる
- 揚げ物の途中で泡が消えない
- 油を熱すると180℃くらいで煙がでる
- 粘りが強くドロドロする
- 嫌な臭いがする
酸化した油で調理された揚げ物を食べると、油臭く感じ、胃がもたれる原因になります。
酸化:油の主成分である脂肪酸が酸素と結合している状態
油の酸化により生成される”ラジカル”は、生活習慣病を引き起こす要因のひとつです。細胞やDNAを攻撃して損傷させることで、ガンや動脈硬化などの引き金になると言われています。
置いているだけでも酸化は進むので、最初の利用日から2~3週間以内に使い切り、繰り返し使用は3回ほど、油の継ぎ足しも控えた方が良いでしょう。
では、正しく作ったとんかつをどのように保存すれば良いのでしょうか?
作り置きとんかつの冷蔵庫・冷凍庫での保存方法
とんかつを日持ちさせるためには、密閉して温度の低いところに保存しましょう。
揚げる前 | 揚げた後 | |
---|---|---|
保存方法 | ・衣をつけ1枚ずつ ラップで包む ・重ならないように 密閉容器に入れる |
・油をきり十分冷ます ・1枚ずつラップで包み 密閉容器に入れる |
冷蔵庫 の場合 |
チルドルームがおすすめ | |
冷凍庫 の場合 |
金属製のバットにのせて急速冷凍 |
匂い移りを防ぎ、乾燥から守るためにはラップ+密閉袋や容器の2重にするといいでしょう。
また、冷蔵庫や冷凍庫内の温度が上がるとほかの食材に悪影響を及ぼすため、揚げた後のとんかつは必ず粗熱を取りましょう。
凍った水蒸気が解凍されると、その水分でカリッとした食感が損なわれるので注意してください。
冷凍庫でも劣化は進む!長持ちする冷凍保存のコツ
冷凍保存でも乾燥や再凍結などの影響で品質が劣化するので、美味しさを保つためには次のようなポイントを押さえて保存しましょう。
- -18℃以下の冷凍庫に保存
- 冷凍庫内の隙間をなくす
- 扉の開閉を少なく・短時間に
- 一度解凍した食品を再凍結しない
冷凍食品やお取り寄せの冷凍とんかつには、賞味期限が冷凍で3ヶ月から1年ほどと長いものもありますね。
しかし、家庭の冷凍庫は開閉が多く、霜取り機能が付いている場合は霜を溶かすために定期的に庫内温度が上昇するので、賞味期限を過信しないようにしてください。
温度上昇→結露→温度が下がる→結露が霜に…となり、この画像の餃子のように霜だらけになるかもしれません!
2ヶ月冷凍庫に入れてた餃子取り出したら霜で凄いことなってた pic.twitter.com/YcA5Kf1kNN
— りっぷる。 (@495ripple) April 4, 2022
ほかにも次のようになったとんかつは、かなり美味しさが損なわれている可能性があるので、食べない方が良いでしょう。
見た目 | 原因 |
一部が白っぽい | 乾燥 |
変色 | 乾燥・油の酸化 |
霜で真っ白 | 食品の水分が移動 |
塊りになっている | 解凍・再凍結 |
保存期間が長くなれば乾燥も進むので、1ヶ月を目安に食べきることをおすすめします。
そして、美味しく食べるには上手に解凍することが大切です。
冷凍とんかつの正しい解凍方法|美味しい揚げ方
揚げる前と揚げた後、それぞれの解凍方法を紹介します。
揚げる前 | ・低温の油に凍ったとんかつを入れる ・衣がきつね色になるまで揚げる ・油を高温にして更に2分ほど揚げる |
---|---|
揚げた後 | ・電子レンジで500Wで1分ほど加熱 (ラップなし) ・オーブントースターで衣がカリッと するまで加熱 |
中まで温まる前に焦げたり油ハネしたりするのを防ぐために、冷凍とんかつは低い温度(160℃)から揚げ始めましょう。
揚げたカツはまず、電子レンジで半解凍状態にすることで時短になります。
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結論 | とんかつの賞味期限は冷蔵庫で数日・冷凍庫で1ヶ月
- 豚肉購入のときから見極める
- 調理時は手と調理器具を清潔に
- 揚げ油の再利用は3回まで
- 保存のときはラップに包んで密閉し乾燥を防ぐ
- 冷凍保存でも酸化・乾燥がすすむので早めに食べる
手作りとんかつを作り置きしたいときは、比較的長持ちする冷凍保存がおすすめです。
しかし、冷凍庫を過信するのは良くないので、1ヶ月以内に食べ切るようにしましょう。
保存方法だけでなく、豚肉を購入するときや調理方法にも、賞味期限をのばすコツがあるので参考にしてください。