そら豆のさやや薄皮が黒や茶色に変色したり斑点が出ていたりしていても、ポリフェノールが原因で中の豆は問題なく食べられる場合が多いです。
そら豆は収穫時期によってさやや豆の色・形・味わいが変わるので、見た目の状態で豆の熟し加減を判断できると便利ですよ。
しかしそら豆は収穫後の賞味期限が短く、傷んでカビが生えたり腐ったりする場合もあるため、食べられるかの見分け方も覚えておきましょう。
そこでこの記事では、そら豆の変色が気になるときに役立つ次の項目について解説します。
この記事を読むと、そら豆が変色していても食べられるか悩むことなく上手に対処し、より美味しく調理して食べられるようになりますよ。
使いやすさも考えた鮮度を長持ちさせる保存のコツもご紹介するので、春先から5月頃に旬を迎えるそら豆の豊富な栄養素と美味しさをムダなくいただきましょう。
目次
そら豆は茶色や黒く変色しても食べられる?変色の原因とは
そら豆はさや・薄皮の表面に黒や茶色の変色や斑点があっても、熟してポリフェノールの色素が出たり酸化したりしただけで美味しく食べられる場合が多いです。
しかし、そら豆は収穫後3日以内が美味しいと言われるほど鮮度が落ちやすく、腐って食べられない状態まで傷んでる場合もあるため、見分け方を知っておきましょう。
そこでまず、そら豆が変色しても食べられる場合の原因や見分け方を解説します。
さやの変色や黒い斑点は完熟の合図
熟したそら豆にはポリフェノールの色素が豊富にできるため、さやに茶色の変色や黒い斑点が出ますが、中の豆は緑のままの場合が多く問題なく食べられます。
また熟すとさやと豆が離れ、接合していたくぼみ部分が黒い筋のように変色して「お歯黒」と呼ばれる状態になりますが、こちらもポリフェノールの影響なので食べても大丈夫です。
新鮮なそら豆はさやにツヤ・張り・弾力がありますが、色・形・味わいは収穫時期によって2タイプに分かれます。(※2)
若いそら豆 | 完熟したそら豆 | |
---|---|---|
さや | ・鮮やかな緑色 ・くびれがない |
・色あせて茶色っぽい ・黒い斑点がある ・筋が黒い ・くびれがある |
薄皮 | 柔らかく鮮やかな緑色 | 硬くやや色あせた緑色 |
お歯黒 (豆のくぼみ) |
緑色で柔らかい | 黒く硬い |
味わい | しっとり食感 | ホクホク食感 |
早期に収穫された若いそら豆は、さや全体が鮮やかな緑色であまりくびれておらず、中の豆も濃い緑色で、水分を多く含みしっとりした食感です。
しかし最盛期になると熟して豆が大きくなるためさやにくびれができ、背の筋や軸は黒く、全体は色あせて茶色っぽい感じになりサビと呼ばれる黒い斑点が見られるものが増えます。
借りてる畑、そら豆が巨大化…
斑点が出ると美味しいらしい。
(奥さん談) pic.twitter.com/DzJeEJvcEC— 黒田順之助 (@Ultra_lucky_man) May 23, 2021
こちらのようにさやが大きくなり斑点が出たら、豆が熟した合図です!
熟した豆は芽を出すための栄養分として糖分がでんぷんに変わっているため、ホクホクした食感が味わえますよ。
熟すにつれ豆の薄皮も硬くなりますが、色はきれいな薄緑色の場合が多いです。
しかしそら豆をさやから取り出してしまうと変色しやすく、薄皮の表面が茶色くなっていくので注意が必要です。
さやの中から出すと薄皮が変色しやすい
そら豆はさやから出しておくと薄皮が茶色く変色することがありますが、ポリフェノールが空気に触れて酸化したのが原因で問題なく食べられます。(※4)
ただし、そら豆のさやの内側には一時的に豆の栄養を貯蔵する役割のワタがあり、空気を遮断して乾燥を防げるので、調理の直前までさやから出さない方が豆の鮮度が保てますよ。
写真上手く撮れたので久しぶりにごはん晒す🙈手抜きメニューやけど、サラダ可愛くできた💕ただそら豆勿体ぶって置いといたら皮が変色した(笑)豆はキレイじょ! pic.twitter.com/l2tyaKr8jE
— イガ (@iigagaga) June 1, 2015
そら豆はさやから取り出すと栄養や風味が落ち、薄皮は写真(左下)のように茶色くなり、乾燥して硬くなりますが、むいてみると中は変色していないことが多いです。
また「赤そら豆」という品種の場合は、薄皮をむくとほかのそら豆と同じ緑色ですが、ポリフェノールを多く含むため薄皮が最初からあずきのような紫がかった茶色をしています。(※5)
赤そら豆は茹でると煮汁に薄皮の色素が出て中の豆もうっすらと紫やピンクになり、サラダや赤飯用にも人気です。
家庭菜園で育てる方も増えていますよ。
このようにそら豆はさやと薄皮が茶色になっても問題なく食べられる場合が多いですが、傷んで変色する場合もあるため、腐るとどうなるか見分け方を確認しましょう。
腐って食べられない状態の見分け方
そら豆は腐るとさやだけでなく中の豆が黒や茶色・褐色に変色したり、不快な臭いやぬめり・汁気・カビが発生したりして、食べると危険な状態になります。
- さや、豆に黒・茶褐色の変色がある
- 不快臭がする
- ぬめり・汁気がある
- カビが生えている
このような腐った特徴が見られるそら豆は、体に悪影響を及ぼす細菌が増殖している場合があり、食中毒を起こす可能性もあるので食べられません。(※6)
またカビが一部だけに生えている食品も、カビの菌糸が中まで侵入したり胞子が付着したりしている可能性があります。(※7)
スーパーで購入したそら豆の皮向いていたら カビが生えた物が出てきたンゴ……
┌(┌ ՞ةڼ)┐<キエェェェエエェェェ pic.twitter.com/gGWG9UtSib— ふぇ (@uttori083) May 25, 2017
こちらの写真のように、そら豆のさやに変色や白いカビが見える豆が入っていたら、さやごと処分する方が良いですね。
このように腐るまで鮮度が落ちて食べられなくなる前に、さやや薄皮が茶色いそら豆を美味しく食べきるための調理のコツをご紹介します。
茶色や黒く変色したそら豆を食べる方法はある?
そら豆のさや・薄皮が黒や茶色になっても中の豆は変色してない場合が多いので、むき身にするほか、色や硬さが気にならないように調理を工夫すれば薄皮ごとでも美味しく食べられます。
そら豆の薄皮は厚みがあって食べにくく感じる場合もありますが、体に良い効果が期待できるポリフェノールや食物繊維、甘み成分を多く含んでいるため、好んで食べる方も多いです。(※8)
食物繊維は便秘の予防・解消や整腸に役立つなどの健康に良い効果が期待され、食事から摂るよう心掛けたい成分のひとつです。(※9)
そこで、茶色く変色したそら豆の調理のコツや薄皮ごと食べられるレシピをご紹介していきますね。
変色したそら豆の茹で方とおすすめアレンジレシピ
塩茹でにする場合は硬くなったお歯黒の部分にあらかじめ切り込みを入れておくと、冷めたときに薄皮がしわになるのを防げ、むくときも簡単です。
お歯黒は切り取ってもOKですよ。
そら豆は茹でると、冷えていく間に茶色くなりやすいので、ザルにあげたらうちわなどであおいで早く冷ますのが変色を防ぐポイントです。
そら豆の基本の塩茹で・固ゆでの方法は、こちらで詳しくご紹介しています。
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
続いて、茶色になったそら豆を薄皮ごと食べられるおすすめレシピをご紹介しますね。
薄皮ごとポタージュにして大量消費
薄皮ごとスープで煮てからミキサーで細かくするので、大量消費もできますよ。
こんがりと焼き色を付けて変色をカバー
変色したり硬くなったりした薄皮も、あらかじめ切れ目を入れ、香ばしくソテーして焦げ目を付けると、美味しいうえに食べやすくなります。
ごま油の香りと塩コショウの味が食欲をそそりますよ。
濃い調味料で柔らかく煮付ける
甘辛な味付けで柔らかく煮て香川県の郷土料理・しょうゆ豆を作れば、おかずにもなります。
濃い口しょうゆの色で変色も気になりません。
このようにそら豆は茶色に変色しても工夫しだいで薄皮ごと美味しく食べられますが、変色を防ぎ日持ちさせて保存するコツも覚えておきましょう。
そら豆が茶色や黒く変色するのを防ぐ保存方法
そら豆が茶色になるのを防ぐには、空気を遮断できるように包んで冷蔵庫で保存しましょう。
買ってきて1~3日なら、新聞紙などで包んだあと全体をナイロン袋に入れて乾燥を防ぎ、冷蔵で保存しておけます。
しかしそら豆は傷みやすく、黒や茶色になっていたりさやから出したりすると賞味期限はさらに短くなるので、すぐに食べられない分は早めに冷凍しておきましょう。
そら豆が茶色く変色するのを防いで、日持ちする保存方法を詳しくご紹介しますね。
そら豆を美味しく長持ちさせる冷凍保存のコツ
そら豆の変色を防ぎながら長く保存して美味しく食べるには、使い方に合わせた状態でしっかりと空気を抜いて密閉し冷凍しておく方法がおすすめです。
豆の状態 | 準備 |
---|---|
さやごと | ①冷凍用保存袋に平らに並べて入れる ②空気を抜いて密閉 |
さやから出した豆 (生) |
①薄皮に切れ目をいれる ②冷凍用保存袋に平らに並べて入れる ③空気を抜いて密閉 |
さやから出した豆 (茹で) |
①薄皮に切れ目を入れる ②固茹でして冷ます ③冷凍用保存袋に平らに並べて入れる ④空気を抜いて密閉 |
そら豆はさやごと冷凍すると豆が空気に触れないため茶色い変色も乾燥も防げ、風味を損なわず日持ち期間も長くなり、約1ヵ月保存できます。
凍ったままオーブントースターなどでさやごと焼くと、豆を柔らかく蒸し焼きにできて手軽です。
焼いたあとはさやを開けて、ワタも食べられますよ。
さやごと600Wの電子レンジで約1分加熱して解凍し、豆を取り出して使うことも可能です。
さやから出した豆やむき身にしたそら豆を冷凍する場合は、酸化により茶色くなりやすいので、より丁寧に空気を抜いて密閉しましょう。
そら豆は冷凍していても、正しい温度に保たれなかった場合は腐る可能性もあるので、解凍して使う際にも見た目や臭いなどの様子をチェックしましょう。(※10)
結論|そら豆の茶色や黒い変色は状況を見極めて判断しよう
そら豆に茶色や黒い変色があっても、ポリフェノールの色素が原因の場合は問題なく食べられます。
熟度の目安にもなりますが傷んでいる場合もあるので、色だけでなく形状や臭いなどの状況も併せて食べられるかの見分け方を覚えましょう。
調理法を工夫すれば、茶色になったそら豆も薄皮ごと美味しく食べることが可能です。
変色を防いで日持ちできる保存のコツを活用して、栄養豊富な旬のそら豆をムダなく美味しく食べきりましょう。
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 『ポリフェノール』とは?医学博士に聞く、体にもたらす効果と正しい摂取方法|東洋大学
※2 初夏だ!そらまめパラダイス|NHK・おうちで学ぼう!
※3 営農情報・野菜に関する質問と回答・2そら豆の子実が変色、食べても大丈夫|JA横浜
※4 科学しちゃうぞ!・なぜ野菜は変色するのか?|imidas
※5 そら豆・品種と旬|ハウス食品株式会社
※6 食べ物の腐敗と食中毒|株式会社ウエノフードテクノ
※7 カビってなに?|東京都福祉保健局
※8 そら豆の栄養と効果効能・調理法・保存法|株式会社なにわサプリ
※9 食物繊維の必要性と健康|e-ヘルスネット
※10 冷凍食品が腐るのはどんな状態の時なのか|株式会社菅野製麺所