暑くなってくると頭をよぎるのが、「今年のお盆の予定はどうなるかな~」ということ。
お寺さんとの付き合いは今のところ両親が取り仕切っているので、私たちは都合を合わせる側です。遊びの計画を立てたくても、最優先の日程が決まってくれないと予約も取れません。
ですが主人の実家も私の実家も、毎年なかなか日程が決まらないのです。
どちらの両親も毎年、家族全員を揃えるための日程調整に色々と頭を悩ませているから遅くなってしまうんですよ。
子どもが社会に出て働きだすと、家族や親族の全員が集まるのって本当に難しくなりますよね。
そういえば、お盆が明けたら同居していた祖父の七回忌です。土・日は早めに動かないと予約が埋まってしまいますし、だからと言って命日を過ぎてしまってはいけません。全員を揃えるのって、大変そうだなぁ。
そんなに悩むなら、いっそのこと夜に法事を行ってはいけないんでしょうか?
- 法事って午前中にやるものでしょ?
- 変な時間に法事を始めて、お斎(おとき=会食)はどうするの?
といった指摘を受けると、やっぱり夜は無謀なのかなぁ?という気もしてきます。そうは言っても日程の調整は難航するし…。
それに夜に行うという考えの人が少数派なら、お寺さんの予約がスムーズにいくかも…?と期待してしまいます。
そこで今回はまず、法事を行うとなったら最初に悩む「法事の時間帯や当日の流れ」について学んでいこうと思います!
法事の詳細はどうやって決めるのか、夜の時間帯を打診しても大丈夫かなど、基本的なことを知っていると円滑に進めやすいですよね。
というわけで、まずは法事を夜に行うのは本当にダメなのかを調べてみました。
目次
法事の時間帯は夜でも可能?どんな基準で決めたらいいの?
結論から言うと、法事の時間はお寺・檀家(=法事をお願いする側)・参列者の都合で決めていいので、夜でも可能なケースはあります。
法事ではお寺さんが唯一『こちらが頼んで(お布施を包んで)来てもらう』立場の方ですからね。
「お坊さんがいなくちゃ法事にならないから最優先せざるを得ない」っていうのが正直なところですけれど(笑)
私の周りには「小学校の校長を務めつつ、土・日を中心にお坊さんとして働く」という方、大学教授や高校教師といった教職と僧侶の二足のわらじで頑張っているという方がいらっしゃいます。そういう別の職業がある方だと、もしかしたら夜の時間帯には難色を示すかもしれませんね。
でもそんな二足のわらじ状態のお坊さんでも、五七日(いつなのか=亡くなってから三十五日めの法要)では平日の夜に法要を行っていましたし、こればかりは直接聞いてみないと分かりません。
法事の日程についての相談はなるべく早めにしておくものですし、半年前から3回忌や7回忌の日程を相談しているという話も聞きます。
でもそんなに早くは決められないということもありますよね。そういう場合は、どれぐらい融通が利くのかを直接お寺さんに相談するのが一番です。日程の相談なら電話で構いませんから、都合のいい日程で空けられる時間がないかを一度相談してみましょう。
ちなみに法事の一般的な時間帯は?
一般的な法事の時間帯は午前11時~、もしくは午後4時~です。
これは読経(40分程度)を終えて参列した方々と共にお斎(皆でお膳を囲むこと)にすると、ちょうどいい時間帯になるからです。
ご飯の時間に合わせて逆算してるんですね。
なので都合さえよければ、夜(午後6時~など)でも可能と言えば可能です。
法事・法要の時間と流れを知っておこう!
1.お寺さんと相談する
先ほども言いましたが、最優先されるべきなのはお寺さんの都合です。
参列者の最大人数(誰を呼ぶつもりか)ということは仮定でいいので、まずはお寺さんとの日程調整、時間調整を行いましょう。
調整の際に確認するのは
- 四十九日法要なのか何回忌なのかといった法要の内容
- 法名・戒名
- 場所
の3つが中心です。
法事を自宅で行う際は「参列者が何人ぐらいで、説法は必要かどうか」という内容に関することを知らせ、「当日のお寺さんの交通手段は何か、駐車スペースはあるか」といった点を確認しておく必要があります。
この時、お寺さんが提示した時間に極力合わせるよう努力してくださいね。
希望の日時や時間帯があれば伝えればいいのですが、基本的にはお寺さんの都合で時間を決めるものですよ。
そして一番大切なのは、法事の後のお斎(おとき=会食のこと)をどこで行うかです。
お斎の手配も頭を悩ませるポイントですが、ここでもまずはお寺さんの都合を伺いましょう。
お坊さんは一緒に食事をするのか、お寺で膳を注文するのか、あるいは外で食事を食べるのか、斎場で食べるのか…。
これらはお寺さんの都合を考慮の上で親族と打ち合わせをするのが望ましいです。
尋ね方があまり不躾にならないよう気をつけてくださいね。
2.読経と食事の場所を確定する
読経の場所と食事の場所を確定…つまりは予約してしまいます。
食事の場所も直前に確保できていないとなると困るので、予約は早めにしたいところ。なので参列者の人数を少し多めにし、早めに予約しておくといいでしょう。
またお店へ出向く場合は、予約の際に「法事での利用」ということを伝えておきましょう。
おめでたい食材(鯛や伊勢海老など)を避け、法事に相応しいメニューにしてくれますからね。
斎場などで法事と食事をいっぺんに済ますのが一番お手軽ですが、これにはすごーくお金がかかります。もちろん高額な分、斎場の人に全て任せていられるというメリットもありますよ。
ただ葬儀にもお金がかかるし、四十九日がやっと終わり、すぐに一周忌、そして三回忌までは法事が立て続くイメージですので、そこまでお金はかけられないというのが本音です。
なので最近では「四十九日までは斎場で全てお任せするが、一周忌の法事は自宅で読経、食事は別の場所に移動」というのが一般的ですよ。
お斎の食事の相場は、四十九日や一周忌など親族や知人なども集めての会食ならば「1人あたり5,000円~10,000円程度」が目安です。お酒も振る舞いますが、私の周りでは「飲酒運転になるから~」と飲まない方が多いです。
「法事の会食をやってますよ~」というお店にお願いすると、大体5,000円~7,000円ぐらいのお膳を用意することが多いようですね。仕出しのお弁当だと、地域によるかもしれませんが多少は安くなるようです。
ちなみに時間帯がいつだろうが、お坊さんが食事に来ようが来まいが、お寺さんに包む金額は同じにしてくださいね。そしてもちろん参列者も、食事をしようがしまいが包む金額は同じです。
3.三回忌以降はどうするか?
宗派によって違うかも知れませんが、通常は一周忌までは参列者も多く、それなりの場所を用意することになります。お経をしっかり上げてもらい、レストランなどで会食するためにバスを借りたりと、手配も大変ですね。
ですが三回忌以降(七回忌、十三回忌、十七回忌…)になれば大抵は参列者も身内のみになり、会食も家で仕出し弁当を食べるぐらいにして簡便に済ませたりします。
ここまで来ると、お盆にお寺さんを呼んでお経をあげてもらうのと同じような感じですよね。
私の実家では「身内だけで簡単に…」と考え、若い世代だけだったこともあって3,000円程度のイタリアンで済ませたこともありますよ。身内に好評ではあったものの、「お寺さんが午後からも予約があるからお斎は無しでって言ってくれなかったら無理だったね」と話しています。
中陰法要の場合
日本で一番多くの檀家を持つ浄土真宗は、亡くなってから四十九日間を中陰(ちゅういん)と呼び、七日ごとに中陰法要を行います。
最初の七日間を初七日といい、次を二七日(ふたなのか)、三七日(みなのか)、四七日(よなのか)、五七日(いつなのか)、六七日(むなのか)、七七日(なななのか)と呼びます。七日ごとに法要を行うため「七日七日の法要」と言ったりもします。
葬式と初七日は同日に行うのが一般的ですが、二七日から七七日、つまり四十九日の法要までは一週間ごとにお経を上げてもらいます。
通常こちらは夜六時ぐらいからで、香典などもなく、身内や近くに住んでいて来られる人のみで簡単に行います。
私も何度か参列していますが、服装も地味目の色の普段着でOKと言われましたし、ジーパンOKの家もあるようですね。七日ごとに厳粛にしていては大変ですし、弔う気持ちがあることが一番大事と教えていただきました。
法事・法要の時間帯と流れについては、周囲とよく相談して
ここまでは一般的なところをまとめましたが、法事というのは地域や宗派によって大きく異なる慣習や決まりがあります。家によっても風習が違いますし、同じ宗派でもお寺によって違う風習だったりもします。
なので、分からないことは相談してください。
相談するお相手としては、大まかなところは年配の親戚に尋ねれば把握できるでしょう。親しいご近所さんで同じお寺の檀家の方がいらしたら、聞いてみるのもいいですね。
大体のところを知った上で、細かなところをどうしたらいいのかお寺に直接相談するのが一番手っ取り早いかと思います。
葬儀から初七日までは通常、不幸を出した家の喪主が自分で動くのではなく、親族の主だった人が段取りするのが普通でした。喪主は監督の立場で最終決定をしたり、挨拶をしたりに忙しいからです。
その段取りをするのは大抵は親戚で、亡くなった人の兄弟や喪主の兄弟などが多いようです。同じ自治会の方がお手伝いに来てくれることも多かったようですね。
近年は親族が少なかったり、遠方に住んでいて世話をする余裕が無かったりで喪主が自分で動くことも多くなってきています。
ですが自宅では行わず斎場を借りる場合がほとんどなので、葬儀屋さんが立ち回ってくれて親族は比較的ゆったりと見送ることができていますよね。
そうやって通夜から初七日までの一連の法要は周りに世話を焼いてくれる人が多くいますが、四十九日や一周忌、三回忌…と進むにつれて自分で管理していかなくてはなりません。
相談できる人がいれば、その人にまず相談すること。
勝手が分からないまま奔走するのはしんどいですし、その後あれこれと文句が出てくると余計に疲弊してしまいます。
法要は長年に渡って続くお寺さんや親族とのお付き合いだとも言えますから、続けるのが辛くならないように相談相手を見つけておきましょうね。
まとめ
- 法事は夜に行っても良いが、お寺さんの都合が最優先
- 一般的な法事の時間は午前11時~か午後4時~で、読経の後で会食するのにちょうどいい時間になっている
- 法事を行う時にはまず最初にお寺さんと日程や時間の調整をする
- 早めに読経の場所や食事の場所を決め、必要ならば予約を取る
- 一周忌までは参列者も多く手配が大変だが、三回忌以降は身内で簡単に済ませることが多い
- とにかく配偶者や親戚やお寺さんなど、周りの人とよく相談することが大切
最近では、葬儀も『家族葬』と呼ばれる身内だけの簡便な様式が増えているそうです。
実は法律的には死亡届と火葬許可証が求められるだけで、あとのことは任意ですから予算や親族の都合などに合わせて簡略化しても構わないのです。
昨年亡くなった私の祖父の初七日も、斎場から火葬場への移動に時間がかかるため、火葬して、そのまま火葬場で法要をしてもらうことにしました。
また自宅で法事を営む家庭が減り、葬儀社を利用するところが多くなってきていますが、それでも任せきりにはできません。
「やっぱりこれぐらいはやっておかないと…」と高めのプランを押し付けてくる可能性もあると考慮しなくてはなりませんし、自分たちの予算はどれくらいで、故人を気持ちよく見送るために必要なことは何かを考えられるのは自分たちだけです。
最近ではお墓も建てずに、お寺さんに永代供養を頼んでお骨ものど仏の部分だけを骨壺に収め、自宅に置いている家庭もたくさんあります。お墓の維持が大変だったり、そもそも墓地の確保ができなかったりするからです。
時代の流れに合わせて葬儀の様子が変わり、それに伴って後に続く法事の形も変わってきているんですね。
生前のうちから準備をするのはいやらしい気もしますが、もし身内で亡くなりそうな方がいるなら、できれば前もって心づもりや準備をしておく方が良いかもしれません。
葬儀の予算、四十九日や一周忌にかかる費用、お布施が必要な場面はいつで、いくらぐらいが一般的か…などを、聞けるうちに両親に聞いておくと、いざという時に慌てません。
法事では皆で亡くなった人のことを思い出し、語らいます。子どもが先祖を大切にするという気持ちを学ぶ機会でもあります。
法事やお墓参りなどを通して続く親戚やお寺さんとのお付き合いの場でもありますから、穏やかな気持ちで過ごせるようにしたいものですね。
長く続けるお付き合いだからこそ、相談相手は必要だと思います。
日程や時間の都合も含め、細かなことでも相談しながら手配を進めてください。そうして自分が年配となったら、自分の子どもにも教えてあげられるといいですね。