【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
このところ体重がどんどん増えていて、落ち込む毎日。何とかせねばと思い、最近はダイエットによさそうで家計にも優しい”もやし”をいつも買っています。
ですが、実はこのヘルシーなイメージのもやしでダイエットを試してみたものの、失敗して逆に太ることもあるようなんです!
いくらもやしでも、お腹いっぱいになるまで大量に摂取すれば、食べ過ぎになってしまい太るのでしょうか?
もやしって、「太る」のか「痩せる」のかどちらなんでしょう…。
そこで、今回は「もやしで太るのは本当か?」というテーマで、以下の内容を調べてみることにしました。
- もやしは太る?ダイエットで気をつける点は?
- もやしで太る原因って何?
- 上手な茹で方や味付のバリエーションは?
- もやしの保存方法は?
「もやし=野菜をたっぷり食べている」というだけで安心しがちですが、ダイエット向きの食べ方はあるのでしょうか。
また、いつも同じような味付けばかりでは飽きてしまうので、もやしのダイエットレシピなども気になるかと思います。
ほかにも、腐りやすいもやしの保存のコツもお伝えするので、一緒に確認しましょう!
管理栄養士・栄養士
目次
もやしで太るって本当?食べ過ぎや食べ方には要注意!
もやしは一袋(200g)で35kcal程度と低カロリーなのに、栄養が豊富なヘルシー食材として有名ですよね。それなのに太るというのは、矛盾している気がします。
もやしだけなら太らない!
実は、もやしを食べて太るかどうかは、カロリーではなく糖質が重要なんです。
最近は、糖質制限ダイエットが流行っているので、挑戦している方も多いかと思います。そういう方からしたら「もやし自体の糖質は問題ないでは?」と思われることでしょう。
確かに、もやし一袋に含まれる糖質は2.5gほどで、毎日食べても食べ過ぎにはならず、この程度では太る要因にはなりません。
問題なのは、もやし料理はあっさりしているので、調味料を濃い目にしてしまうこと。結果として、料理全体の糖質がバカにできない量になっているというのが、よくある失敗パターンなんです。
また、もう一つの失敗パターンは、もやし料理単体では腹持ちに欠けるので、物足りなさから食事の量を増やしたり間食したりして食べ過ぎてしまうことです。
ダイエットが失敗してしまうのは”もやし”そのものではなく、もやしだけではお腹が満たされずに、おかずや調味料の量を増やしてしまうことが原因になります。
例えば、私の失敗談を例にあげますと…。
- もやしのナムルにごま油をたっぷりとかけている
- 食べ飽きたからと、途中でマヨネーズをたっぷり足して食べた
- ご飯を減らすためにもやしを用意したのに、結局ご飯や菓子パンを追加して食べてしまった
私はこんな経験がありますが、こういったことをしていなければ、もやしをたくさん食べたことが原因で太るという心配はないですよ。
食べすぎや食べ方に気をつけていれば、もやしは優秀なダイエット補助食品なので「太らない」といえます。
例えば、「夜中にお腹がすいて、もやしを食べたら太る?」「夜食にもやしスープを飲むのはどう?」と心配する人もいるかもしれませんね。
ですが、調味料を控えめにしたもやしメインの料理なら大丈夫でしょう。
ただし、いくらもやしの栄養が豊富といっても限界があり、もやしだけを食べるダイエットだと栄養不足になってしまうことはデメリットといえます。
栄養の偏った食事で痩せても、リバウンドしやすい体質になってしまうだけです。単品ダイエットは控え、豆腐や納豆などのヘルシーな食材も上手に取り入れてみてください。
もやしの一日の摂取量は、一袋の半分から一袋(100~200g)程度を目安に考えるとよいでしょう。
ちなみに”もやし”とは…
漢字で「萌やし」と書き、豆や野菜の種子を光を遮って水だけで発芽させた(=萌えさせた)若い芽を指す言葉です。
”カイワレ”はハツカダイコンのもやしだし、ピーナッツもやし、ニンニクもやし、アルファルファもやし、ブロッコリーもやしなどもあります。
ただし、最近では”もやし”と呼ばずに”スプラウト”という呼び方が一般的ですね。
要は、スーパーでよく見かけるブロッコリースプラウトと緑豆もやしは、どちらも”もやしの仲間”ってことです。
その中で、最も一般的なのは”豆もやし”ですが、これは緑豆(リョクトウ)やグリーンマッペ、ブラックマッペを発芽させたものです。
グリーンマッペやブラックマッペは、小豆の近縁種のことです。スーパーでは、緑豆もやしと大豆を発芽させた”大豆もやし”をよく見かけますよね。
ちなみに、短期間の間に発芽から収穫までできることや、傷みやすい食材であることから、もやしは基本的に国産です。ただし、原料豆のほとんどは中国やインドなどからの輸入品が使用されています。
ここまでで、陥りやすい失敗パターンを把握したところで、次はダイエットをするうえで気をつけるべき点についてを見ていきましょう!
もやしで太る原因は「調味料の種類と量・食べる順番」
もやしで太ってしまうとしたら、「調味料の量を増やしてしまうこと」とお話しましたが、実はそれ以外にも注意点があるんです。
以下で、注意したい3つのことを紹介します。
ダイエット中に気をつけるべきポイント3つ
- ごま油のトラップを回避せよ!
- ゴマダレ・マヨネーズなどドレッシング類も控えめに!
- ダイエット的食べる順番を習慣づけよう!
1.ごま油のトラップを回避せよ!
もやしと相性の良い調味料であるごま油は、ナムルなどもやしを使ったレシピでもよく登場しますよね。実はこのごま油、100gで920kcalあります。
脂肪のつきにくい油ではありますが、とりすぎるとカロリーオーバーの一因になってしまいます。ですから、ダイエット中はたっぷりかけずに、香りづけ程度に振りかけるくらいで留めておきましょう。
2.ゴマダレ・マヨネーズなどドレッシング類も控えめに!
「湯通しして、ゴマだれやポン酢をかけるだけ」のような簡単調理で済ませられれば、ダイエットを毎日続けやすくなりますよね。ですが、ドレッシング類は大さじ1杯を目安にしましょう。
ご飯が進むほどの味付けになったら、それはかけ過ぎです。単体で食べ続けても「濃い」と感じない味付けにしなければ、ついご飯を食べ過ぎてしまいますからね!
ちなみに、マヨネーズはかけると太りやすいと思われがちですが、実は糖質制限ダイエットでは禁止されていません。
意外に糖質が多く含まれている「カロリーハーフの商品」よりも、ノーマルタイプのマヨネーズを使用することが推奨されています。
食事制限のダイエットでは、肌がかさついたりしてしまいがちなので、ある程度の油脂は摂取したほうが、きれいにダイエットできますよ!
ごま油の他にも、オリーブオイルや亜麻仁油など、良質な油を毎食適量摂取するのが理想的です。もやし料理も、少量の油で風味付けをしたレシピを取り入れてみてはいかがでしょうか。
3.ダイエット的食べる順番を習慣づけよう!
人間の体は、最初に食べたものから吸収されていくため、食べる順番を間違えれば太る原因になります。
揚げ物や、主食などから食べだすと太りやすいので、
の順番になるように、サラダや和え物など野菜たっぷりの副菜を食べて、次にメイン、最後に主食という順にします。そこで、「最初に箸をつけるのはもやし」という習慣をつけましょう!
野菜から食べるほうが痩せやすいうえに、もやし料理は大抵ヘルシーな仕上がりなので、食卓の中でも低カロリーな一皿であることが多いでしょう。
もやしを完食してから、次にカロリーの低いものから順番に食べるようにしておけば安心です。
次はダイエットを上手に続けていくために、もやしのヘルシーメニューや調理方法についてもチェックしておきましょうね!
もやしの上手な茹で方を伝授!
もやしで太らないようにするための方法を紹介しましたが、ここで調理の仕方やおすすめのメニュー・レシピを具体的に見ていきましょう。
痩せたい人へ!「もやしを使ったヘルシーメニュー」を紹介
ダイエットを上手に続けるためには、もやしに飽きないようにメニューのレパートリーを増やすのが得策です。
ここでは、タンパク質も一緒に摂れて、余分な油を控えたダイエットメニューや、ちょっとしたレシピを紹介していきますね。
鶏肉×もやし
お肉ともやしは相性が良く、美味しいレシピがたくさんあります。中でも鶏肉はダイエット向きの食材。例えば、次のようにさまざまなアレンジができます。
- ブロッコリー×蒸し鶏×茹でもやしでホットサラダ
- つみれとムネ肉のヘルシー鶏すき焼き
- 糖質が少なめな一人用の鍋の素を使って野菜たっぷり鍋
- ササミやサニーホウレンソウと一緒に好みの油と塩コショウで炒める
私個人としては、ササミとねぎと一緒に中華風のスープにするのがオススメ。スープを最初に飲むことで食べ過ぎ予防にもなりますし、生姜を加えてダイエット効果をアップさせることもあります。
鶏肉を加えることで食べ応えもアップするので、ヘルシーなムネ肉やササミを加えたレシピはオススメですよ!
魚×もやし
魚の缶詰ともやしの相性は抜群!
野菜たっぷりのちゃんちゃん焼きは、我が家でも大好評のメニューなんですが、意外にダイエット向きにアレンジできたりします。
缶詰はストックしておくと便利ですよ。鯖缶なら茹でたもやしと和えるだけ、ツナ缶なら”無限もやし”としてレンジ調理するだけ!
ちょっと珍しい鮭缶はもやしと一緒に炒めて、レモン果汁と塩コショウで味付けすれば、お酒のおつまみにもなります。
もやしを炭水化物代わりに
チャーハンやお好み焼きなどにもやしをたっぷり入れて、炭水化物を減らしちゃおうという作戦です。
- とんぺい焼きやもやしたっぷりのお好み焼き(※ソースやマヨネーズのかけ過ぎに注意!)
- もやしご飯
- 炒飯に刻んだもやしをたっぷり加えてご飯の量を減らす
もやしだけだと腹持ちが悪いので、カロリーの低い鶏の胸肉などでかさましするのがおすすめです。ほかにも、腹持ちをよくするために”豆もやし”をダイエットレシピに取り入れるという手もあります。
もやしご飯を作る場合は、もやしも一緒に炊き込む場合と、炊き上がってから刻んだもやしを入れて、炊飯器で数分間蒸らす方法があります。どちらにしても、調味料の量や食べ過ぎに注意してくださいね!
もやしのさまざまなメニューを紹介したところこで、次は上手な茹で方についても見ていきたいと思います。
モヤシの上手な茹で方を伝授
一般的なもやしである”緑豆もやし”や”ブラックマッペもやし”をゆでる場合のコツを覚えておきましょう。
- 鍋にたっぷりのお湯を沸かす
- サラダ油を大さじ2と塩ひとつまみを入れ、もやしを投入
- 再沸騰してから、更に10~15秒ほど茹でる
豆もやしの場合は豆の部分がありますので、少し茹で時間が長くなります。豆の大きさにもよりますが、水から茹でた場合で沸騰してから1~5分程度が目安です。
ちなみに、もやしを茹でたあとに水にさらすと水っぽくなるのでNGです!冷ます場合は、バットに広げるなどして自然に冷ましましょう。
【もやしダイエットで痩せた!?実際の体験談から検証】
もやしは太るのかどうか調べていると、「もやしダイエットを実践してみました」などの体験談を掲載しているサイトがけっこうありました。
もやしダイエットの経過や、ビフォーアフターの写真なども載せられていたりします。期間は1週間ほど実施して、1kg程度減ったという内容もちらほら見られましたよ。
食物繊維が多いので、快便になる人も少なくないようです。また、もやしで”置き換えダイエット”をするケースが多く、特に夜に置き換えするとよさそうです。
ほかにも、痩せるもやしレシピなども紹介されていて、「1週間分のダイエットレシピ」に使えそうだなと感じました。
もやしの1週間ダイエットに挑戦してみたい方は、実際に体験した方のサイトを参考にしてみてはいかがでしょう。
もやしダイエットをするなら、ある程度まとめ買いをすることもあるかと思います。
最後に、あまり日持ちしないもやしの正しい保存の仕方を紹介しますね。
余ったもやしの上手な保存方法
もやしは足の早い食材で、買ってきて3日目ぐらいで傷んだりするので、できるだけすぐに使い切ってしまうのがベストです。
とはいえ、毎日スーパーへ行くと余分な物を買いがちですし、一人暮らしは消費が難しい…。
そこで、上手な保存方法を覚えて、なるべく毎日の料理で使い切れるようになりましょう!
もやしの上手な保存方法
- 未開封の袋入りのもやしはチルドルームで保存する
- 開封済みの場合は、保存容器で水に浸して保存(※水は入れ替えよう!)
- 湯通し後のもやしは、粗熱を取って水気を切ってから保存容器に入れる
- 冷凍保存は食感が変わるので要注意!
意外なことに、もやしは野菜室よりも、温度の低いチルドルームや冷蔵室での保存が向いています。
開封済みの場合は袋のままではなく、保存容器を使います。もやし全体が浸るくらいの水を入れたら、フタをして冷蔵室へ。
1~2日に一度は水を入れ替えておけば”シャキシャキ感”が続きます。ただし、ビタミンCなど水溶性の栄養成分は流れ出てしまうので早めに使い切りましょう。
冷凍で保存すれば、1ヶ月程度の日持ちが見込めますが、もやしのシャキシャキ感は抜けてしまいます。
ですから、冷凍した場合はスープや餃子の具など、食感が気になりにくいメニューに使うとよいでしょう。
その場合は、購入した袋のまま冷凍庫に入れておくだけでOKです。
使いかけのもやしを冷凍したいときは、軽く洗って水気を切り、冷凍用保存袋に入れて空気を抜いて保存してくださいね。
また、湯通しして粗熱を取ったあと、つま楊枝などで穴をあけたポリ袋に入れて冷凍する方法もあります。湯通ししてから保存すれば、細菌の繁殖も防げるので安心です。
まとめ
最後に、今回の内容をおさらいしましょう。
もやしは優秀なダイエット補助食品です!
- もやしは低カロリーで栄養が豊富なヘルシー食品
- 調味料をたっぷり使い、料理全体の糖質量を増やさないようにしよう
- 物足りなくて追加で食べ過ぎないように食べ応えにも気をつけよう
ダイエット中に気をつけるべきポイント
- ごま油の使い過ぎには要注意
- ゴマダレ・マヨネーズなどドレッシング類も控える
- ダイエットに効果的な食べる順番を身につけよう
もやしの上手な保存方法
- 未開封のもやしはチルドルームで保存する
- 開封済みは保存容器で水に浸して保存する
- 湯通し後は、粗熱を取り水気を切って保存容器に入れる
もやしにはダイエットサプリのような、「コレさえ食べていれば、痩せられますよ!」という効果はありません。また早く痩せたいからと、もやしだけを食べ続けるのもNGです!
栄養不足でスタミナが不足しまうだけでなく、単品ダイエットは筋肉が落ちて貧相な体型になり、リバウンドもしやすいんです。
もやしは、あくまでダイエットのサポート的存在です。
糖質や炭水化物を制限するダイエットでは、ご飯の代わりになる食材が不可欠なので、もやしはピッタリですよね。
筋肉をつけるためにタンパク質を多く摂取して、運動することで痩せやすい身体づくりをしていく中で、補助的にもやしを活用していくのが理想です。
もやしは1年を通して安価に手に入れられますし、野菜が高騰している時期にも比較的手を伸ばしやすい価格を維持してくれます。
ダイエットの心強い味方として、ぜひもやし料理を取り入れていってくださいね!