【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
最近私も主人も体重が増えたっきり戻らず、この冬は夫婦でダイエットを心掛けることにしました。仕事が忙しい時期でもあるので、基本的に食事に気をつけつつ、年末年始のご馳走や晩酌はOKという緩いダイエットです。
そこで流行から定番になりつつある糖質制限メニューや炭水化物を減らすメニューなど、早速ヘルシーな食事についての情報収集を始めたんですが、そこで気になる言葉がありました。
「炭水化物を減らすなら、ジャガイモやレンコンも避ける」という、特定の野菜も控えた方が良いという考えです。
ん!?レンコン???
ジャガイモは炭水化物だという認識だったんですが、レンコンは初耳です。根菜をたっぷり使った料理はダイエットの定番だし、レンコンはヘルシーなイメージなのになぁ。
というわけで、今回はレンコンに注目して
- レンコンは炭水化物なの?
- ダイエットにレンコンを使った料理は不向きなの?
- 食物繊維を摂りたいんだけど、レンコンはたくさん食べたらダメなの?
- レンコンでもダイエットメニューは作れる?
といった疑問を解決すべく、「レンコンは炭水化物なの?ダイエット中に食べても大丈夫?」というテーマで調べました。
私も主人も若い頃に比べてダイエットが一筋縄ではいかなくなったし、食事にもしっかり気を配りたいところ。それ子どもの分のご飯は栄養満点にしておきたいですし、ただカロリーを減らしただけの粗食になってしまってはいけません。
美味しく健康的な食事のためには、野菜の栄養について学んでおくことはとても大切ですよね。
今日は中でも”ダイエット好適”というイメージの強いレンコンについて学んでいきましょう!
管理栄養士・栄養士
目次
レンコンは炭水化物なの?ダイエット中に食べても大丈夫?
レンコンは炭水化物を多く含む食品というのが正確な表現です。
そもそも食品が単一の成分で出来てることはほとんどありませんから、レンコンの場合も、炭水化物の他にタンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルなど様々な成分が含まれています。
糖=炭水化物(糖質)として、レンコンは100g中15.5gが炭水化物です。お米は100g中77gが炭水化物だと言われているので、レンコンに含まれる炭水化物は、お米の5分の1くらいですね。
同じ野菜であれば、ジャガイモは100g中18gが炭水化物です。レンコンの方がやや低糖質な食材と言えますが、最近流行りの”糖質制限”に重心を置くダイエットをするなら、レンコンは不向きな食材でしょうね。
糖質制限ダイエットには不向きとはいえ、レンコンには栄養が豊富に含まれています。
- ビタミンCがみかんより豊富に含まれている
- 鉄分がダイエット中の貧血予防になる
- 肝臓に働きかけるビタミンB12、高血圧予防に良いとされるカリウムも含まれる
- 便秘に効く食物繊維も含まれている
といったことから、レンコンは疲労回復・かぜの予防・ガン予防・老化防止にも効果的な食材だと考えられます。ダイエットで食事制限をする場合は体調を崩しやすいので、こういった効能の多い食材は、完全に避けてしまう必要はないと思います。
例えば糖質制限を緩めた”低炭水化物ダイエット”を行うのであれば、身体の免疫力を維持するためにも、レンコンを食事に取り入れるようにしたいですね。
レンコンを切ったら糸を引いた!…腐っているの?
生のレンコンを買ってきて切った時に、「糸を引いているから腐っている」と勘違いしてしまった経験はありませんか?
普段は料理をしなかったり下処理済みのレンコンを購入していたりすると、この糸を引いている状態は不安でたまらないと思います。
レンコンを切ると糸を引くのは、多糖類のぬめり成分によるものです。この成分には胃腸の粘膜を保護する作用があるんですよ。
ちなみにレンコンは腐ると表面がぬるぬるしていたり、変色が多かったり、軟らかくて溶けたようになっていたりします。異臭がする場合もありますね。こういう状態だったら食べるのはやめておきましょう。
また切り口が茶色く変色する原因は”タンニン”で、こちらはポリフェノールの一種です。抗酸化作用があり、炎症を抑えたり血圧を下げる働きがあると言われていますね。
それでは、レンコンの話題に戻します。
レンコンを低炭水化物ダイエットの最中に食べ過ぎるとどうなる?
食事量を減らすダイエットをしていると、便通が滞ることがよくあります。平たく言えば、便秘ですね。食物繊維が豊富な食材を食べれば便秘予防や便秘解消に繋がりますから、レンコンも便秘には有効です。
ただし食べ過ぎると胃痛・腹痛・下痢などを起こす場合がありますので、レンコンばかりを大量に食べるのはやめておきましょう。
またレンコンのみを一度の食事で大量に食べると、ブドウ糖・血糖値が上昇します。それを続けていれば、肥満や糖尿病に繋がってしまうかもしれません。
食物繊維を豊富に摂りたいなら、いくつかの食材を組み合わせて繊維質以外の栄養素もバランスよく摂取するのが適切ですよ。
妊娠や糖尿病のある人が摂取量を控えた方が良い理由
糖尿病の人は、低炭水化物の食事制限を行う必要があります。レンコンは野菜の中では糖質が低い方ではありますが、一回に食べる量は控えるに越したことはありません。レンコンを多くしてしまうと、炭水化物の上限が低い分、他のおかずやご飯とのバランスが取りづらいですからね。
ですが一般的なおかずとして出てくる程度の量ならば、あまり問題はないでしょう。より気をつけなくてはならないのは、レンコンの量よりも、きんぴらや煮物の味付に使う砂糖の量だと思います。
私の祖父は糖尿病を患ってから亡くなるまでの18年間、ずっと食事制限をしていました。祖父は食材そのものを制限するよりも薄味に慣れることや白飯の量などを重視していて、肉も魚も野菜も、色んな食材をバランス良く食事に取り入れていましたよ。
どんな食材でも、過剰な摂取は栄養バランスを崩してしまって健康に良くないということですね。
妊婦さんもそれと同様で、妊娠中毒症のリスクを少しでも減らすためには量を制限するくらいが丁度いいでしょう。妊娠初期は食の好みが大きく変化し、「●●が無性に食べたい!」という状態になる方が多いです。レンコンにハマってしまったら、食べ過ぎには注意ですね(笑)
ですがレンコンを食べない方が良いというわけではないですよ。レンコンには炭水化物以外にもビタミンCとカリウム、それに葉酸も豊富です。妊婦さん、特に妊娠初期の人には、カリウムがむくみを軽減し、胎児に必要な葉酸も摂れるのでオススメです。
また妊婦さんに嬉しい風邪の予防やアレルギーを抑える効果も期待できますよ。
妊娠中は薬があまり飲めませんので、咳が多くなって「風邪かな?」と思ったら、民間療法で早めに対処する人は多いと思います。レンコンをすり下ろして少量の砂糖と一緒に煮立たせる”レンコンスープ”が効くとされているので、ぜひお試しくださいね。
レンコンを使った低糖質のダイエットレシピを紹介!
次はダイエットレシピのご紹介です。こちらのレシピを私が実際に作って食べてみました。
レンコンのグリル
- レンコンの皮をむいて5mm~1cm程度の輪切りにする
- 180℃のオーブンで15分焼く
- オリーブオイル・レモン汁・しょうゆを2.2.1で合わせたタレに漬ける
※1~2日なら冷蔵庫で保存も可能
※アボカドやパプリカと一緒に焼くと彩りが良くなります。特にアボカドは美容にも嬉しい食材なのでオススメですよ。
【実際に調理したときの写真:筆者撮影】
レモンの酸味でさっぱりした味付なのに、シャキシャキのレンコンは食べ応えがあり、満足感がありました。「ちょっとレンコンの切り方が大きすぎたかな…」と感じましたので、写真の大きさよりももう少し小さくした方がいいでしょうね(^^;
レモンの酸味が強めの味なので、酸っぱいのが苦手な方はレモン果汁を半量にして様子を見るといいと思います。
今回は急いでいたので、焼き上がってすぐにタレをかけて食べました。ですがこの料理はタレにちゃんと漬け込んだ方が美味しいと思います。ぜひ、焼き上がってすぐに保存容器でタレ漬けしてみてくださいね!
ダイエット中は食事制限によって便秘になったり、そこから肌荒れを起こしたりしやすいです。このレシピでは美容食材であるアボカドも一緒に食べているので、より美肌効果がアップしているはずですよ。
またレンコンはたんぱく質と一緒に摂ることで、美肌効果や抗がん作用がアップします。ビタミンEと組み合わせることでもより効果的に栄養を摂取できるので、鶏肉を一緒に焼いたり、もう一品作る時の材料でたんぱく質やビタミンEが摂取できるように組み合わせを意識してみてください。
- ビタミンEが豊富なもの:サラダ油、小麦、マーガリンなど
- たんぱく質が豊富なもの:牛肉、鶏肉、豆など
レンコン調理と保存時の注意点
レンコンを調理する時に、気をつけたいのは酸化です。生のレンコンは皮を剥いた状態で置いておくと切り口から酸化し、白から褐色に変化してしまいます。料理によっては見た目も気になりますし、保存している間に変色しないよう気をつけたいですね。
煮物にする時は煮汁の色がしみ込んで分かりづらくなりますが、和え物に使う時などは綺麗な色の方が見栄えもいいですし、アク抜きをしましょう。レンコン一節分なら、大体500mlの水に対して酢小さじ一杯程度の酢水に5分浸けておけば、アク抜きができます。
下茹でをするなら、その時お湯に酢を数滴入れるか、または薄く切ったレモンを数枚入れておくだけでもOKです。
また生のレンコンは日持ちしません。レンコンを買って来たら水で湿らせた新聞紙で包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存しましょう。
小分けにして利用したいというときは、蓮根を5mmくらいにカットし硬めに茹で、水気を切って冷凍すると1ヶ月程度は保存できますよ!調理の際は凍ったまま使ってください。調理前に解凍すると黒ずんでしまい、見た目が悪くなってしまいます。
水煮やパウダー状のレンコンは生のレンコンを買うよりも割高ですが、長期保存ができる上に下処理の手間が省けます。
いつでも手軽にレンコンの栄養素を摂り入れたい場合は、特にパウダーがおススメです。味噌汁などに入れても味に変化がないので、野菜嫌いなお子さんに飲ませても気づかれませんよ!パウダーは1日で小さじ1~1.5杯が目安。お湯では溶けにくいため、 少し煮詰める必要があるので注意しましょう。
まとめ
- レンコンは炭水化物を多く含む食品である
- 糖質制限のダイエットには向かないが、他にも豊富に栄養があるので避ければいいというわけではない
- レンコンを切った時に糸を引くのは多糖成分によるもので、腐っているわけではない
- 食べ過ぎると体調を崩す恐れがあるので、適度な量にしておこう
- 糖尿病の食事制限や妊婦の食べすぎ防止なども、食事全体のバランスが一番大切
- 生のレンコンは日持ちしないので、湿らせた新聞紙とビニール袋で包んで冷蔵庫で保存しよう
- レンコンを切ってから硬めに下茹でし、水気を切って冷凍保存すると便利
- 冷凍保存した時は、解凍せずに調理に使うと変色を防げる
- レンコンを手軽に料理に取り入れたいのなら、パウダーもオススメ
糖質制限や炭水化物抜きといったダイエット方法がブームとなり、最近では定番といえるようにもなってきました。健康のために食事に気を配るのはいいことなのですが、何かを徹底的に排除しようとすると、食事全体のバランスが悪くなってしまいがちです。
早く体重が落ちると嬉しいですが、栄養不足で風邪をひいたり、肌が荒れて髪にもツヤがないからやつれて見えたりといった痩せ方では、スタイルアップとは言い難いのではないでしょうか。
またどんな食品にしてもそうですが、摂取しすぎれば害になります。
レンコンそのものには栄養が豊富に含まれています。健康のためにも、毎日の食生活に上手に取り入れておきたい食品ですよね。
ダイエットをするなら、いろんな食材の組み合わせの中で炭水化物を控え、たんぱく質を多く摂れるようバランスを考えた食事を心がけましょう。
バランスの良い食事を続けることで綺麗に痩せて、なおかつ健康的な毎日を送りたいですね!