日本では古来、三本足のカラス「八咫烏(やたがらす)」は吉兆を示す鳥でした。
また、その闇にまぎれる黒さからか、霊魂を運ぶ霊鳥とされていたこともあります。
一般的によく見かけるカラスは、ハシブトガラス、ハシボソガラスの2種です。
スズメが減少していると言われている現代では、私達が最もよく見かける野鳥なのではないでしょうか。
ほぼ毎日見かけるカラスなのに、周りで飼育をしている人、見かけませんよね?
飼育法が難しいのでしょうか?
生ゴミをついばむ姿から、雑食であるだろうし何でも食べるのでは?
もしかして、飼育してはいけない?
人によって好き嫌いがはっきりわかれる「カラス」。
今回はそのカラスを飼育できるのか、出来ないのかを検証してみたいと思います。
目次
カラスの飼育はできる?できない?違法性や禁止事項!
鳥獣保護管理法により守られています。
鳥獣とは?というと、「鳥、哺乳類に属する動物」です。
普段見かけるカラスは、この中に属します。
このような法律がある理由を考えると、人間との共存を目標に野生動物の乱獲を防ぎ、生態系を守る為だと思われます。
基本的にこの法律によって、野生の鳥(卵含む)や動物を獲ることは違法であり、禁止されています。
「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」です。
自分達の周りで飼ってる人を見ないのは、この法律があるからなのですね。
それでも、その鳥獣保護管理法の中で捕獲してもよいという場合があります。
鳥獣の捕獲許可を受けた場合
学術研究の目的や生活環境、生態系に関わる被害防止の目的など、定められた目的で、かつ一定の要件を満たす場合には、許可を受けて鳥獣の捕獲をすることができます。
これはほとんどの方に当てはまりそうにありませんね。
次の条件を見て行きます。
狩猟による捕獲
狩猟期間中に、市町村の定められた区域で、要件を満たせば捕獲することができます。
法定猟具を使用して捕獲をする場合
狩猟免許を所持し、かつ狩猟者登録を受けた者は、法定猟法により狩猟鳥獣を捕獲することができます。
住宅敷地内で法定猟具(銃器を除く)を使用して捕獲をする場合
垣・さくその他これに類するもので囲まれた住宅敷地内では、当該住宅の占有者の承諾があれば、誰でも法定猟法(銃器を除く。)を使用して捕獲することができます。
法定猟具を使用する方法以外で捕獲等をする場合
法定猟法以外の方法(手捕り、捕虫網など)であれば、誰でも捕獲等を行うことができます。
ただし、毒物、劇物、爆発物などの危険猟法を使用する場合は、環境大臣の許可が必要。
傷病鳥獣の保護
傷ついた鳥獣を捕獲した場合、市町村など自治体が定めた機関(ボランティア含む)で鳥獣を保護します。
一定期間保護し、傷が治ると野生に帰します。
カラスはケガをしていても保護してくれません。
ほとんどの動物病院でも保護もしてくれませんし、治してくれません。
そのような状態では、自分で保護することも難しいでしょう。
カラスは有害鳥獣に含まれ、保護をする必要がないとされているからです。
有害鳥獣に含まれてしまう理由はなぜなのでしょうか。
カラスは農作物を食べたり、ゴミ捨て場で食べ物を探し、巣のそばを人が通れば威嚇することもあります。
その威嚇が効かなければ、攻撃してくる可能性もあります。
カラスにとっては当たり前の事です。
生きていく、育てていく為にエサがあれば食べますし、大事な卵のある巣のそばを他の生物が通れば、当然守るために威嚇します。
人の視点から見るとどうでしょう?
大事に育てた農作物は食べられ、整然としたゴミ捨て場をぐちゃぐちゃにし、巣のそばを通っただけで危ない目にあえばそれは「有害」とみなされるのです。
カラスも生態数がひどく減少すれば保護する可能性もありますが、今のところは逆に年々増えているようなので厳しいと思います。
一番飼育に近い位置にいるのが「狩猟による捕獲」です。
地面に落ちたヒナを助けたいのですが、どうしたらいいですか?
もしも地面にカラスのヒナ、生後間もない赤ちゃんが落ちていたら、近くの木に巣があると考えられます。
落ちているのではなく、飛ぶ練習をしている途中、ということもあります。
そしてそこには親鳥がいなくても、すぐに帰って来る可能性があります。
むやみに触れてしまえば、威嚇されるおそれもあります。
自治体では、野生の鳥の雛がもし落ちていたら拾わずに、しばらく少し離れた場所で様子を見る、もしも拾ってしまっても元の場所に戻すようにと書いてあります。
そのほうが、雛にとっても助かる可能性が高いからです。
それでも親が戻ってこず、放置されている場合は?
- 住宅敷地内で法定猟具(銃器を除く。)を使用して捕獲をする場合
- 法定猟具を使用する方法以外で捕獲等をする場合
という二つの条件がありました。
自治体が指定する狩猟可能期間で、ハシブトカラス、ハシボソカラスならば、銃器などを使わず、手づかみや虫取り網などならば捕獲することができます。
ただ、期間が決まっていますので注意が必要です。
市町村ごとに期間が変わりますので、期間を知りたい方は自分がお住まいの市町村のサイトや、直接電話して聞くのがいいと思います。
カラスを飼育するにあたって
雑食で人間が出す生ゴミ、農作物、昆虫、小型の動物(爬虫類、両生類、哺乳類など多数)を食べます。
もし病気やケガをしたとしても、病院では保護されない所がほとんどです。(有害鳥獣の為)
そして何よりもペットの小鳥とは違い、大きいです。
普通の鳥かごではまず飼育できません。
家の中で放し飼い状態になると思われます。
体が大きい分、とてもよく食べますし、フンも大きく回数も多いです。
犬や猫のようにトイレを決めるということは難しいと思います。
食べたから出す、というよりは飛ぶために体を軽くすることが目的だからです。
あちらこちらにフンをされる覚悟と、掃除をする体力が必要になってきますね!
カラスには色も見えていると言われています。
それも人間と同じ光の三原色が見えているというのです。すごいですね。
それに加えて、紫外線も識別できるようです。
三原色と紫外線が識別できるとは、どのように見えているのか体験したいものです。
色が見えているので、人間の顔などをある程度まで認識し、記憶します。
きちんと育った場合、カラスの寿命は10年を超えます。
10年~20年、もしかすると30年かもしれません。
とてもかしこい鳥なので、大事に飼育すれば懐くと思います。
カラスの飼い方 Shepherd way of crow
おわりに
普段見るカラスは、青光りした黒色で格好いいですよね。
群れで飛んでいく様は、まるで映画のようだと思います。
まだ幼い頃、「カラスが鳴くからか~えろ~」と口ずさんだ方も多いのではないでしょうか?
夕暮れ時に移動するカラスが、その当時の時間の指標だったのです。
そんな小さな頃から存在が身近だった、「カラス」の飼育についてお伝えしてきました。いかがでしたか?
カラスに限らず生き物を飼育する事は、大変難しい事です。
生き物相手は24時間休みがありません。
自分が家にいない間どうしているのか?
旅行なども一緒に連れて歩けるような動物でなければ、諦める事になるでしょう。
ネガティブな考え方ですが、もしも自分に何かあったら代わりに誰が世話をするのか?
そういうことも考えなければなりませんね。
共存する為に、相手をよく知る。
まずは、その動物の生態や飼育方法を知ることが大事です。
カラスは人によっては忌み嫌われる存在です。
特にゴミ捨て場管理をされているような方は、カラスをよける為に試行錯誤していることでしょう。
法律や周りの環境など色々な事を考える必要があります。
今回の記事が少しでもお役に立てば幸いです。