非正規雇用とは?
法的には有期契約労働者、派遣労働者(登録型派遣)、パートタイム労働者のいずれか1つ以上に当てはまるような労働者の雇用を指します。
わが国では日常的に「パートタイマー」「アルバイト」「契約社員・職員」「派遣社員(登録型)」雇用が非正規雇用になります。
総務省の2013年平均の労働力調査(基本集計)によると、雇用者全体に占めるパートやアルバイトなどの非正規労働者の割合は前年比1・4ポイント増の36・6%となり過去最高とのことです。
完全失業率が改善傾向にある一方、不安定な非正規雇用の広がりに、歯止めがかかっていないことが示されました。
昨年の非正規労働者数は93万人増の1906万人。
内訳はパートが928万人、アルバイトが392万人、契約社員・嘱託が388万人でした。
非正規割合を男女別でみると、男性が1・4ポイント上昇の21・1%で、女性が1・3ポイント上昇の55・8%でした。
出典:厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000046231.html)
非正規雇用の特長と問題点
一般的にいわゆる「正社員」「正職員」と呼ばれる従業員の雇用と比較したとき総合的に見て、
- 時間当たりの賃金が低い、退職金がない、ボーナスがない
- 雇用契約期間が短く雇用が不安定
- 景気が悪くなれば真っ先に解雇されるなど 人員削減の際、調整弁として使われる
- 単純業務が多く安価な労働力として利用される
- キャリア形成の仕組みがないので、正社員になることが難しい
- 女性は中高年が多く、男性は結婚率が低い
- 社会保険・雇用保険の適用から外れることが多い
といった点があげられます。
雇用者側から見ますと、
業務の安全調整弁的役割を果たし、低賃金かつ退職金・社会保険料を払わないので人件費を抑えられます。
一方知識・技術の社内蓄積ができず、熟練工・ベテランが育ちにくく、正社員と比べ忠誠心・責任感が低いと言われています。
雇われる側から見ますと、
自分の都合に合わせ仕事の時間や期間を調整できるので、副業・兼業がし易く、多くの企業で経験を積め、比較的採用され易い雇用です。
一方正社員と同じ環境の仕事でも自給換算の賃金が安く賞与が出ず、短期契約の為将来が不安定で大型ローンの借り入れが難しいです。
日本の雇用制度のあるべき姿
日本的雇用慣行は、高度成長期のように所得も人口もどんどん増えている状況では、会社にも労働者にも好都合の仕組みで経済合理性がありました。
低成長の現代では、大企業は成長が期待できる海外に生産拠点を移すので、日本の正社員は長時間労働を余儀なくされています。
また景気が良くなっても会社は将来のリスクを考え、
派遣社員や契約社員等非正規雇用者でカバーしがちです。
そのしわ寄せが若年層の求職者に最も不利に働いています。
若年層の求職者を雇わなくなると若年層の技能が高まらないので、ずっと低い技能の労働者を大量に抱えていくことになります。
このままでは経済に閉塞感をもたらしここ10年、
世帯主の賃金は伸び悩み生活が苦しくなっています。
一方で共働き世帯では仕事と子育てとの両立は困難で、妻がやむを得ず仕事を辞めると、子育て後再びフルタイムの仕事に就くことは非常に困難です。
安倍政権が打ちだしている「男女共同参画社会」の理念からして、「公平な労働市場」を作り出すことが、日本の雇用制度のあるべき姿だと思います。
【出典:https://www.pakutaso.com/】
公平な労働市場とは
- 女性と若者が働きやすい環境づくり
:性別・年齢に関係なく「同一労働同一賃金」を目指して実施 - 労働市場の流動化
(例えば20年毎の中期雇用、人生三毛作):労働者にも選択肢を広げ、それを後押しする国を含め社会全体で、失業保険や職業訓練などのセーフティーネットの充実 - 社内失業者の削減
仕事を殆ど与えられていない社内失業者(正社員で解雇できず500万人と推定)等の削減により、労働市場を流動化の施策により実現すると考えられます。
また、少子高齢化で労働力不足になり社会保障費確保の必要もあります。
この為、元気で働く意欲のある高齢者には、働いて社会保障費を稼いでもらうため、
- 元気な高齢者が75歳くらいまで働ける環境づくり
- 高齢者が若者を前面に押し出して、裏方に回って若者の成長を見守りながら働く
ことも大切です。
ライター:sige G