先月ヒマラヤ付近の国ネパールでマグニチュード7.9の大規模地震が発生し、7,000人を超える死者がでました。
最近世界各地で地震が多いと思いませんか?
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)発生以来、日本周辺でも活発に地殻変動が起こっていると考えるのは筆者だけでしょうか?
その中で最も警戒すべき地震の1つ、南海トラフ巨大地震について解説します。
目次
南海トラフの範囲は?どうして巨大地震が起こるのか?
南海トラフの範囲は、静岡県・愛知県から紀伊半島、四国にかけての南方の沖合約100Kmの海底にある長さ700Kmに及ぶ水深0.4Km溝状の地形を言います。
南海トラフでは下の図のように陸側のプレート(*)ユーラシアプレートにフィリピン海プレートが沈み込んで海の中に深い溝ができています。
ここではプレート同士がせめぎ合い、溝のどこかで地震が起こっても不思議でない程、余分な力が貯まり大きなエネルギーを持っています。
そして、これらのプレートが元の位置に戻ろうとする時、貯まっていたエネルギーが一気に解放され、このとき発生する非常に大きな揺れが『巨大地震』になるのです。
(下記動画の47秒のところで、この現象が丁寧に解説されています。)
(*)プレート:地球の表面は厚さ100Km、10数枚のプレートで構成されています。
プレートは太古の時代から移動しており、南米大陸東側とアフリカ大陸西側がジグソーパズルのようにぴったりくっつくことからも、一つの大陸が2つの異なるプレートにのっていたため、プレートの移動で分割されたと考えられています。
この場所は過去にも大地震が大体70~100年の間隔で起こっているのです。
つい最近では1944年、1946年に起こっており、それから70年を経過し
今年大地震が発生してもおかしくないのです。
危険地域の津波シミュレーション!被害予想は?
4年前に起った2万人近い犠牲者を出した、東北地方太平洋沖地震の規模は、マグニチュード(*)9.0と最大級規模の地震でしたが、それと同じ規模(M8~9)の地震も想定されるのです。
(*):マグニチュードとは発生地震の規模・大きさをいい、揺れの大きさを表すのが震度です
南海トラフで地震が起った時一番恐ろしいのは津波です。
最悪のケースだと32万人余りの死者が出ると予想され、その7割が津波で亡くなると推定されています。
地震が起きた時、周辺地域がどうなるかを、コンピューター上で予測する(シミュレーションと言います)と驚くべき悲惨な状況になることが分ったのです。
以下の動画をご覧ください。
マグニチュード9クラスの地震が起きると最悪の場合、死者32万人強、その内70%が津波による犠牲者です。
しかし迅速な避難・事前に対策をとっておけば、80%は削減できると言われています。
南海トラフ各地域の津波シミュレーション!
津波は高い所では30mを超え、しかも第1波が1分で到達することがあるのです。
ここでコンピューターによる津波の予測動画を見つけましたので、地域別にご紹介します。
*駿河湾(静岡県)~紀伊半島沖で地震が発生した時の津波の状況:
https://www.youtube.com/watch?v=PB10ksFhhTk
動画解説:人口が密集している地域なので被害が最も大きくなり、駿河湾(静岡県)、三河湾(愛知県)、熊野灘沿岸(三重県)には巨大津波が襲い、しかも地震発生から1~5分で到達します。
*紀伊半島沖~四国沖で地震が発生した時の津波の状況:
https://www.youtube.com/watch?v=zGTntyl71Bk
動画解説:20分で紀伊水道(和歌山県・徳島県)に、30分で土佐湾(高知県)に巨大津波が到達します。
*四国沖~九州沖で地震が発生した時の津波の状況:
https://www.youtube.com/watch?v=tZHm79480Kc
動画解説:20分で土佐湾(高知県)に30mと最も大きな津波が到達し、30分後日向灘(宮崎県)、豊後水道(大分県・愛媛県)にも津波が襲います。
この様に東海沖・東南海沖・南海沖と様々なケースでシミュレーションがなされています。
しかも恐ろしいことに、この地震は1箇所で起こったら短期間に南海トラフ各地域に、連鎖・連動することも考えられているのです。
驚くべき経済損失220兆円強、国家予算の2年分!
内閣府中央防災会議の作業部会がまとめた報告書では、マグニチュード9クラスの巨大地震が発生すると、950万人が避難し、建物、橋・道路・水道・ガス等のインフラ設備の被害や経済活動への影響で、国家予算の2年を超える220兆円の経済損失と想定しています。
4年前の東日本大震災の被害額が17~25兆円推計されているので、如何にその規模が大きいかが分かります。
むしろ日本が立ち直れるかどうかの瀬戸際に追い込まれると言っても言い過ぎではありません。
巨大地震にどう備えたら良いのでしょうか?
地震のような天災は避けることができません。
ましてや日本のように火山国・地震国では先人達は、過去の教訓を生かして謙虚に向き合ってきました。
例えば大津波が来た高さを石に刻んで「この高さまでは逃げろ!」と伝えたり、地域で助け合って避難・炊き出し・互助をやって来ました。
昔の諺(ことわざ)「備えあれば憂いなし」を実践(じっせん)することです。
巨大地震が間近に迫っている中、普段から頭に入れておかねばならないことを上げておきます。
- 一人一人が防災意識を持ち、いざという時の避難経路・場所の確認と防災訓練の実施しておきます。
- 家屋・インフラ設備の耐震補強工事の実施(補強工事をして倒壊を免れた建物は数多くあります!)
- 家庭の備蓄量(食糧・飲料・燃料)を普段から最低3日分確保しておきます。
- 地震発生時上からの落下物に備え、構造のしっかりした建物なら、机の下・トイレなどの強度のある場所に入って揺れが収まるまで待ちます。
揺れがおさまり外へ出る時は、電気のブレーカーを落とします。
自宅が倒壊してなければ、水道水を出来るだけ貯め込みます。
マンションに住んでいる場合は、必ず玄関の扉は少し開けておきます。 - 外出時は一斉に人の流れる方向に出ないで冷静に他の出口を探します。
外に出たら上からの落下物、切れた高圧電線には注意して安全な場所に移動します。
ブロック塀・自動販売機は余震でも倒れやすいので、そばを通らないようにします。 - 津波が来る場所に住んでいる場合は、先ず高台に逃げることと、第1波の津波が来なくても、第2、3波が来ることがあるので安心しないようにします。
南海トラフ大地震で一番注意しなければならないのは津波です。
4年前の東日本大震災で、津波から危機一髪で助かった方のリアルな証言を紹介します。
証言1)
必ず地震・それに次いで大津波が来ると信じ、自宅裏の海抜30mの岩山に自らの退職金をつぎ込んで老人でも登れる低い階段を作り、平らになった頂上には海の見える展望台、避難小屋を作りました。
当日の津波で岩山の下の自宅は流されたものの、岩山に上った近所の人達70人は命拾いしました。
この地震が起こる前は東松島市の野蒜(のびる)地区の近所の人は、その行為を馬鹿にしていたのです。
証言2)
岩手県大船渡市の内海には3mの防潮堤がありますが、3mを超える津波が来たことがないから大丈夫と高を括っていたら、あっという間に自宅の天井近くまで押し寄せ、慌てて流れてきたソファーにしがみ付き九死に一生を得ました。
若い皆さんが今後、成人~老人になっていく年代には必ずと言っていいほど、大地震に遭遇します。
日頃から防災・減災について考えておきましょう。