神社の参拝に「2礼2拍手1礼」(にれいにはくしゅいちれい)の作法があることをご存じでしょうか?
おそらく、この記事を訪問したあなたは、「2礼2拍手1礼」についてどこかで聞いたことがあるのだと思います。
そして、神社参拝時に一度はやったことのある人も多いことでしょう。
しかし、2礼2拍手1礼の「正しい手順、速さ、タイミング、手の位置」などを聞かれると、急に自信がなくなったりしませんか?
その他にも、
- どのタイミングで「お願い事」を念じるのか?
- お賽銭を入れるは、お辞儀の前で大丈夫?
- どんな神社でも「2礼2拍手1礼」で良いのか?
- そもそも「2礼2拍手1礼」の意味は?
など、
恥ずかしくないような、正しい知識が必要ですよね。
ネット上の書き込みは、あやふやな情報も多かったので、筆者が1つ1つを確認しながらまとめてみました。
初心者が神社参拝するときに必要な知識を盛り込みましたので、あなたの神社参拝に、少しでもお役に立てると嬉しく思います。
目次
神社参拝の作法‥「2礼2拍手1礼」の正しいやり方
「2礼2拍手1礼」とは?
実は、この作法、昭和に入ってから定められたということをご存じでしょうか?
それまで決まりのなかった神社参拝の作法は、古くからの慣習を汲み取り、明治政府によって初めて制定されました。
その後、改定を重ねて昭和23年に現在の形にまとまったのです。
神様に関わることが、日本政府により定められたというのは驚きですよね!
どんな神社でも「2礼2拍手1礼」で良いの?
もちろん、古くからの慣習による参拝方法を行っている神社もあります。
例えば『出雲大社』
出雲大社では、『2礼4拍手1礼』となります。
宇佐神宮や弥彦神社も、2礼4拍手1礼です。
このように、必ずしも 2礼2拍手1礼 ではないのですが、基本形として
「2礼2拍手1礼」
を覚えておくと、例えば、旅先の神社でお参りをする際などに役立ちます。
拝殿前に特別な指示がなければ「2礼2拍手1礼」で大丈夫です!
「2礼2拍手1礼」の正しい手順は?
1.2礼
神前に向かい、二度深くお辞儀をします。
腰の角度は直角に。
2.2拍手
- 胸の前で両手の平を合わせて、右手を少し引きます。
- 拍手を二回打ちます(2拍手)。
- 右手をもどして(両手の平を揃えて)、感謝と、あれば祈願します。
拍手には、音霊により邪気を祓う
という意味があるので、よく音を響かせるようにしましょう。
3.1礼
最後にもう一度、深くお辞儀をします。
これが基本として制定された、参拝方法です。
神奈川県の「相州藤沢 白旗神社」が非常にわかりやすい動画を公開してくれていますので、こちらで再度手順を確認してみましょう!
2拍手の際、右手を少し引く動作、お辞儀の深さ、速さなど、イメージはつかめましたでしょうか?
動画にある「2礼2拍手1礼」以外の流れについては、以下、次項でお伝えしたいと思います。
神社に入って「2礼2拍手1礼」するまでの正しい手順
【手順1】 鳥居をくぐります
鳥居には、一般社会と、神域を区切る結界のような役割があると考えられているそうです。
ですから、鳥居をくぐる際には、目上の人のお宅を訪問するような気持ちで、一礼してからくぐりましょう。
もちろん、自分がなんという神様を拝するのか、“祀られている神様” を把握しておくことも大切です。
鳥居をくぐり、神前に至るまでの参道で、身が清められていくと考えられているため、途中の横道から入るのは正しくありません。
また、参道の真ん中は、神様が通る道(正中)とされているため、中央を避けて歩きましょう。
【手順2】“手水舎” で心身を清めます〜(手水をとる)
参道にある手水舎で、神前での参拝の前に、手水をとります。
これは、参拝の前に、心身を清めるという意味があります。
- 右手で柄杓をもち、左手に水をかけて清めます。
- 柄杓を持ち替えて、右手を清めます。
- 再び右手に柄杓を持ち替えて、左手に水を落とし、口をすすぎます。
(柄杓に口を直接付けないようにして下さい)
- もう一度左手に水をかけて清めます。
- 最後に柄杓を立てるようにして、柄杓の柄の部分(持ち手の部分)に水を流し清めてから、柄杓を元に戻します。
可能ならば、この一連の動作は、柄杓に汲んだ一杯の水で行いましょう。
さて、ここまでの手順も「相州藤沢 白旗神社」が動画を公開してくれていますので、確認してみましょう!
最後の柄杓を立てるようにして「柄の部分を清める動作」など、イメージはつかめたでしょうか?
【手順3】 参拝します〜(2礼2拍手1礼)
- 神前(お賽銭箱の前)で小さくお辞儀をします。
- お賽銭をいれます。
※投げ入れないで、静かに置くような気持ちで入れます。
- 鈴がある場合は、静かに鳴らしましょう。
- 2礼2拍手1礼を行います。
- 小さく礼をして、神前を下がりましょう。
1.と5.の小さな礼などは、意外と忘れてしまいがちです。以下の動画で再度ご確認ください。
動画の女性が、お賽銭を「静かに」入れていることに気が付かれたでしょうか?
お賽銭を勢いよく投げ入れる人は多いのですが、よくないやり方です。
そっと教えてあげましょうね。
「2礼2拍手1礼」時に忘れてはならない作法
正しいお賽銭の供えかたは?
ここまでの流れで、参拝の方法はお分かりいただけましたか?
次に、正しいお賽銭の供え方を考えてみましょう。
お賽銭の、賽 という文字の意味は、
という意味があるそうです。(ウィキペディアより)
もともとは、山の幸である様々な作物や海の幸、お米の稔りに感謝し、それらを奉納していたものが、やがてお金を供えるようになったと考えられています(諸説あるようです)。
いずれにしても、“賽” の文字の意味や、古くは“収穫のお礼としての奉納” であることを考えるとき、あくまでも
お賽銭とは、感謝の気持ちを表したもの
であるべき
と言えるのではないでしょうか?
くれぐれも、
『自分の願いを叶えてもらうためにお賽銭を入れる』
ということのないようにしたいものです。
そして、お賽銭箱に投げ入れることは是非やめましょう。
止むを得ない場合も『賽銭とはあくまでも、感謝の気持ちを奉納するもの』ということに留意して、行いましょう。
お願い事を伝えるタイミングは?
さて、いざ神様を拝する際、
『お願い事はどのタイミングですれば良いのか?』
という事を意識しておく必要があると思います。
なぜでしょうか?
大切なことは、“神様を敬い感謝する心” その心を持った上での “祈念〜こうありたい、こうなりたい、という澄んだ思い” を伝えることです。
参拝の手順を間違えないように意識するあまり、その大切なことがおろそかになってしまっては、本末転倒ですから…。
『このタイミングで』というのがあらかじめ分かっていれば、安心ですね。
一般的には、2礼して、2拍手のあとに、祈念するようです(基本的には、神様のお蔭様で、という感謝の心を伝えるのが本来であるようです)。
タイミングについては、慣習による参拝方法を取り入れている神社もたくさんありますし、決まりがあるという訳ではありません。
しかし、神前で鈴を鳴らしたり、柏手を打つことが、『邪気払い』の意味をもつということを踏まえると、おのずと、このような流れになると考えられたのかもしれませんね!
なぜ、「2礼2拍手1礼」なのか?
「2礼2拍手1礼」となった経緯
日本人は古来より、神々や、神聖なものを認めて畏怖、畏敬の念を持ち生活してきた文化があります。
そのような歴史 文化の中で、信仰され根付いているものが、仏教と区別され “神道” と呼ばれるようになりました。
そして、神道〜(皇祖崇拝の伝統を基礎にもつ)は、王政復古、明治維新にとって、象徴的なものとされていったというのは、なるほど、という感じですね。
そのような背景の中、明治8年に【神社祭式】が、その後 明治40年に【神社祭式行事作法】が正式に制定されました。(その後の何度かの改定を経て、昭和23年現在の形になりました)
拍手や鈴を鳴らすことの意味
御神前で鳴らす大きな鈴や、拍手の音には、邪なるものを祓う力があるとされています。
さらに、美しい鈴の音は、神の御霊を引き寄せる、という意味合いもあると言われています。
小さな鈴は、御霊を引き寄せる
というように、教えて下さる神職さんもいらっしゃいます。
ちなみに、巫女さんの舞の際に鳴らす鈴は、御霊を引き寄せる方の意味だと言われています。
ということが、参拝の作法となっている、理にかなっているのですね!
まとめ
最後に、「2礼2拍手1礼」の手順を再度確認しておきましょう。
神前に向かい、二度深くお辞儀をします。
腰の角度は直角に。
2.2拍手
- 胸の前で両手の平を合わせて、右手を少し引きます。
- 拍手を二回打ちます(2拍手)。
- 右手をもどして(両手の平を揃えて)、感謝と、あれば祈願します。
3.1礼
最後にもう一度、深くお辞儀をします。
いかがでしたか?
筆者はとくに宗教を信仰しておりませんが、小さな時より、
「誰もみていなくても、お天道様がみているよ、神様が見ているよ」
と言われて育ちました。
良い事も悪い事も見られているよ、と…。
そのせいか、誰も見ていなくても、悪い事はしたくないですし、良い事や、人に尽くすことは苦になりません。
3つ子の魂100までも、などと言いますよね(笑)。
古くから、“目にはみえない神々や自然に畏敬の念をもつ” という歴史、文化は、日本人の心のよりどころとなってきました。
これからも受け継がれていって欲しいですね!
最後までお読みいただきましてありがとうございました。