人は山に神を想う。山は人と神を結ぶ。
JR東海のCMにより、注目されはじめた奈良県の「三輪山」
はるか昔より、神様が宿る山として崇められてきました。
「三輪山」は、山そのものが信仰対象であり、日本最古の神社の1つ
大神神社(おおみわじんじゃ)の「ご神体」として知られています。
実はこの三輪山、奈良に住んでいた
筆者の一番のお気に入りスポットであり、今では年に数回、訪れるほど。
今回の記事では、三輪山が初めてという あなたのために、初心者に役立つ「7つのポイント」を丁寧に解説しました。
初心者に必要な7つのポイント
1.受付時間、登拝料は?
2.登山(登拝)の所要時間は?
3.登山(登拝)コースは?
4.トイレや水分補給はどうする?
5.三輪山登山に適した靴は?
6.三輪山登山の服装は?
7.三輪山登山に必要な装備は?
ご注意)三輪山の登山は「登山」ではなく「登拝」です。いつもの山登りとは少し勝手が違いますので、ポイント1~7までしっかりチェックしてくださいね。
三輪山(みわやま)
住所:奈良県桜井市三輪
標高:467.1m
大神神社の大鳥居の左下に見えるのが「三輪山」。神様が住んでいる山です。
目次
登山の所要時間や注意点について
1. 受付時間、登拝料は?
三輪山の登山(登拝)について
【筆者撮影:狭井神社入口の鳥居前】
受付場所:狭井神社(さいじんじゃ)
受付時間:午前9時~午後2時(時間厳守)
下山報告:午後4時(時間厳守)
登拝料:一人 300円
Advice1
受付時間は、原則「午前9時」からです。ただし、少し前に入山させてくれるケースもあります。午後2時の受付終了時刻は厳守です。
Advice2
下山報告の期限は「午後4時」まで。安全のためにも、ここは時間厳守です。あなたのペースに合わせ、時間にゆとりを持って入山しましょう。登拝に必要な「時間情報」については後述します。
Advice3
以下のような入山禁止日があります。念のため、電話で事前にチェックしておきましょう。荒天時や神社行事などにより、入山が禁止されるケースがあります。筆者が訪問したときも、お祭りで入山制限がかかっているときがありました。
入山禁止日
1月1日~3日、2月17日、4月9日、4月18日(午前中のみ)、10月24日、11月23日
問い合わせ先:0744-42-6633
【ご注意】※大神神社:公式サイトより
「2019年4月28日から2019年5月6日は、三輪山の登拝は出来ません(御代替にあたり、御社頭安泰・防犯のため)」との事です。ご注意ください。
2. 登山(登拝)の所要時間は?
登拝の所要時間 ※往復
初心者:2~3時間
慣れている人:1.5~2時間
Advice1
登山に慣れているかどうかや、年齢によって、所要時間が変わってくると思います。筆者のように1年に1度登山をするかしないか・・・という体力に自信のない人なら、2~3時間はみておいた方が良いでしょう。
Advice2
下山する時の方が足に負担が大きいです。途中休憩も考えて、余裕を持って出発しましょう。
Advice3
三輪山の登拝は、結構な急斜面を登っていきます。ハイキング登山とは全く異なるものです。筆者は 往復 2時間を見込んで出発しましたが、それ以上に時間がかかってしまいました。
Advice4
ときどき、往復1時間くらいで登拝してしまう「天狗」のような人もいます。しかし、張り切って登ってしまい、体調を崩してしまう人がときどきいらっしゃるようです
実際に、三輪山は女性でも登れるものですか?
女性の読者さんに上記のような質問をいただきました。筆者は三輪山の山中にて、たくさんの女性登拝者(20〜50代)とすれ違っていますので、もちろん女性の方でも、三輪山の登拝は可能と考えます。ただし、体力や足腰の強さ、坂道などを普段から歩き慣れているかなど、人それぞれ異なりますので、決して無理はしないようにしましょう。
3. 登山(登拝)コースは?
Advice1
標高(467m)はそんなに高くはありませんが、とにかく「急な坂」が多いので登山口で「竹の杖(貸し出し無料)」を借りておいた方が安心です。
Advice2
下山のことを考えて、「竹の杖」の長さは、あなたが思うより「30センチほど長め」のものを選ばれると足腰への負担が軽減しますよ。
Advice3
太いものと細いものがありますが、狭井神社登山口の受付の左側においてある杖が「太くて丈夫」です。※大神神社の鳥居前でも杖を貸してもらえますが、狭井神社の杖の方がしっかりしています。
【筆者撮影:狭井神社登山口の受付の左側にある竹の杖】
※貸し出し無料
※太くて丈夫。30センチほど長めのものを選ぶのがポイント。
Advice4
三輪山の入り口にある狭井神社(さいじんじゃ)から、最寄りの「JR三輪駅」までのアクセスは、徒歩20~30分みておいた方が良いです。冬は暗くなるのが早いですし、下山時刻には注意しましょう。
Advice5
決して、山頂に行くことが目的ではありません。途中で引き返しても良いですので、あなたのペースで登られてください。
三輪山の山中で迷ったりしないでしょうか?
読者さんに上記のような質問をいただきました。筆者の登拝経験では、三輪山で迷うことは、ほとんど無いと考えています。山中では幅1〜2mくらいの道が続いていますので、その道に沿って登っていけば良いと思います。万が一、わからなくなった場合、立ち止まって待っていれば、通常10分しないうちに他の登拝者が登ってこられますので、そちらの方の経路を確認しても良いでしょう。
4. トイレや水分補給はどうする?
Advice1
三輪山の山中では「トイレ禁止」です。狭井神社に上がる手前にあるトイレが最終ですので、ご注意ください。
【筆者撮影:狭井神社の手前にある「お手洗」】
※ここが最終のトイレです
Advice2
狭井神社の奥には、水汲み場があり「御神水」が湧き出ています。筆者は、これをペットボトル(500mL)にいれて持参しました。伝説によると、このお水は、さまざまな病気を治す「神様の水」。大変、美味しいお水です。
【筆者撮影:狭井神社登山口にある御神水】
※水汲み場は写真の場所の右奥にあります
三輪山から大神神社、狭井神社をまとめた分かりやすい動画をご紹介します。
↓ ↓ ↓
動画内の収録時刻
三輪山(21秒~)
大神神社・石階段(38秒~)
大神神社・拝殿(56秒~)
狭井神社・拝殿(2分5秒~)
狭井神社・お神水(2分21秒~)
さて、
三輪山は、古来より
「三諸の神南備(かんなび)」
「神さまが鎮まる聖なる山」
と言われています。
つまり、
三輪山自体が「神さま」なのです。
そして、
少し前までは、決して
人の立ち入ることができない聖域でした。
素晴らしい「三輪山」を一般の人にも開放して欲しいという先人達の熱意によって、現在の「登拝」が可能になったのです。
この歴史的背景と「ご神体に入る」ということを忘れず、
以下の「注意点」はしっかり覚えておきましょう。
(補足)三輪山登拝の注意点!こんな行為はNGです!
三輪山の登拝における禁止事項
【筆者撮影:狭井神社登山口にある注意書き】
・飲食・火気の使用
・カメラ、スマートフォン等での撮影
・水分補給以外での飲食
・狭井神社の登山口以外からの入山
Advice1
特に、スマートフォン等による撮影は絶対にNGなのでご注意ください。入山時、バックパックなどの中にしまっておきましょう。
Advice2
三輪山に登拝する時には「入山申し込み」が必要になります。事前の予約などは必要ありません。
Advice3
受け付けで、入山料 300円を支払い、入山申し込み用紙に「住所」「氏名」「携帯電話番号(緊急連絡先)」を記入します。
Advice4
入山申し込みをすると「入山の心得」の説明があり、その後、「三輪山参拝証」の鈴のついたタスキをもらえます。これは神様が住む場所に、私服で立ち入るために必要なもの。神主さんが丁寧に教えてくださいます。
Advice5
タスキは下山後に返却します(厳守)。これにより「下山確認」しているとのことなので、もしも返却を忘れると、安全確認のため、大騒ぎになります。ご注意ください。
Advice6
繰り返しますが、三輪山は「ご神体」。大物主大神が鎮まる神の山です。山中には神霊が鎮まる磐座が散在しています。三輪山の草木にも神霊が宿っていると考えられているので、草木を採取したりしてはいけません。
Advice7
「三輪山」への登拝には白装束で望む方も多くいらっしゃいます。登拝中に他の人とすれ違ったときは「挨拶」を心がけましょう。みなさん、気持ちよく返してくれますよ。
三輪山の登山に適した服装・必要品
まず、一般の登拝者の服装に関して厳しい決まり事はありません。あまり華美な物や奇抜な服装は避けた方が良いでしょう。
5. 三輪山登山に適した靴は?
三輪山は、標高467m。
決して高い山ではありませんが、軽い気持ちで入山すると「急な坂」「狭い道幅」「木の根がむき出し」「大きな岩がゴロゴロ」「ぬかるみ」など、驚かされることになるでしょう。筆者もびっくりした一人です。
中でも「急な坂」は、登山コースのほとんどを占めると言っても過言ではありません。スニーカー等で登られる方もいらっしゃいますが、靴底がツルツルだと滑りやすいので危険です。特に、雨の後など、地面がぬかるみになります。
このため、三輪山に登る時には、しっかりとした「登山靴」を履くことをオススメします。
「靴」を履いての登拝は神様に失礼にあたると「裸足」で登られる方もいらっしゃいます。せっかくなので、筆者も挑戦しましたが、足の裏が痛くなり、なかなか厳しかったです。狭井神社の受け付けの右横に足を洗える水道があります。
【筆者撮影:狭井神社の受付の右横にある足洗い場】
6. 三輪山登山の服装は?
冬の服装ポイント
山中の気温は、狭井神社付近と大きく変わることはありません。
真冬でも晴れていれば、登っていくうちに暑くなるのでフリース等でも大丈夫です。
【写真の場所はイメージです。三輪山の山中での写真撮影は禁止されています。】
もっとも注意しておきたいのは、山頂付近に到達
する頃、大量に出ていると思われる「汗」です。
この「汗」が体を冷やす原因になりますので、山を登る際には、背中にタオルを入れておいて、汗を吸収させるのが良いです。
このタオルを下山時に抜き取るというテクニックがありますのでお試しください。
※これは筆者が、現地のゲストハウスでお会いした三輪山登拝の熟練者に教えていただいた方法です。
また、汗をかいてもすぐ乾くシャツなどを着ていくのも良いでしょう。
夏の服装ポイント
三輪山は木々が生い茂っているので、木陰が涼しく快適に登れそうです。
帽子を被らなくても大丈夫なくらいです。
ただし、「アブ」等の虫がいる場所があるので、肌の露出は控えた方が良いと思います。
※筆者は、山中の滝(三光の滝)で衣服をぬらしてしまい、そのせいかアブに追いかけられてしまいました。
こういうこともありますので、虫除けスプレーをしてから登ると安心ですよ。
夏でも通気性の良い素材の長袖等を用意して、「虫」や「紫外線」から自分を守って下さいね。
急斜面にぬかるみもありますので、暑くてもショートパンツなどは避けましょう。思わぬケガから守ってくれます。
春と秋の服装ポイント
春と秋は登山をするには快適な季節ですね。
三輪山登山の所要時間はそんなに長くはないので、当日の気候に合わせた服装で大丈夫ですよ。
以下、春と秋に限った話ではありませんが、三輪山の場合、通常の登山者のようなの重装備は必要ありません。
重たい装備には体力を取られてしまうばかりなので、山中では必要最低限のものを持参し、体に負担をかけないことをおすすめします。
では、三輪山登山に必要な装備とはどんなものか、次章で解説しましょう。
7. 三輪山登山に必要な装備は?
三輪山は、登山に慣れた方なら1時間30分、そうではなくても2〜3時間あれば往復できます。上述したように、本格的な登山装備は必要なく、両手をあけたリュックでの必要最低限の装備で大丈夫です。
リュックの中身(必要最低限)
・携帯電話(緊急連絡用)
・登山コースの地図
・汗ふきタオル(2~3枚)
・水分補給用のペットボトル(500mL)
・体温調節用の衣服もしくは合羽
・お賽銭
Advice1
その他の荷物は、貴重品以外はコインロッカー(後述)に預けてしまうのが良いでしょう。
Advice2
急な坂が多い登山道なので、三輪山の登山口で貸してもらえる「竹の杖」を必ず持っていきましょう。
Advice3
三輪山の山中では飲食(水分補給は可)を禁じられているので、お弁当やおやつはNGです。
無料のコインロッカーについて
【筆者撮影:狭井神社登山口にある無料のコインロッカー】
設置場所:狭井神社(さいじんじゃ)登山口受付の右側
利用時間:午前9時~午後4時
利用料:無料(ロッカーを開いたときに100円硬貨は返却)
Advice1
ロッカーは計「22個」あります。もしも空きロッカーがない場合、又は荷物が大きすぎてロッカーに入りきらない場合、荷物を社務所にて預かってくださるようです。
Advice2
ロッカーに100円硬貨が必要と書いてありますが、筆者が利用した奥側のロッカーはコイン不要でした。
ここまでは「三輪山の登山」に関して、あなたに知っていただきたかった「7つのポイント」でした。
1つ1つをしっかりと覚えて、良い登拝にしてくださいね!
さて、
最後にもう1つだけ。せっかく三輪山へ行くなら絶対に知っておきたい
「三輪山の伝説」を簡単にお届けしておきます。
三輪山伝説をちょっとのぞく
三輪山伝説
むかし、むかし、活玉依姫(いくたまよりひめ)という美しい娘がおりました。夫もいないのに妊娠した娘に、驚いた両親が尋ねると「毎晩かよって来られる美しい方と一緒にいたら子を授かりました」と娘は言うのです。
疑問に思った両親はこう返しました。
「今度その方が来られたら、赤土をまき、糸巻きに巻いた麻糸を針に通してその方の着物の裾につけなさい」
娘がその通りにすると、翌朝、戸のかぎ穴から麻糸が外へと出ており、糸をたどっていくと美和(みわ)の山の神社で途切れていました。
つまり、その「美しい方」こそ、美和の山の神、大物主大神(おおものぬしのかみ)であることが分かったのです。
ちなみに、娘の生んだ子が大田田根子(おおたたねこ)。大物主大神を祀る神社の神主となったそうです…
このように、聞いたことのないような日本古来の伝説が、三輪山周辺には数多く残っています。
例えば、近くにある 箸墓古墳(はしはかこふん)は「卑弥呼」の墓 ではないかとも言われています。
筆者もたびたび現地を訪れ、ゲストハウスのオーナーご夫婦や宿泊者の旅人から不思議なお話を聞くことが多いです。
【筆者撮影:桧原神社に続く山辺の道】
以下、筆者の「お気に入りの宿」をご紹介します。
三輪山の登拝は日帰りでは大変ですし、山中では大量の汗をかきますので、宿があるのは本当に有難いです。
狭井神社からつづく「山辺の道」を歩けば、元伊勢と呼ばれる穴場「桧原神社(ひばらじんじゃ)」がありますし、翌日に、多くの日本人を魅了する「明日香村」を経由して帰られるのも良いでしょう。
あなたも宿泊前提で、この地を訪れてみてはいかがでしょうか?
筆者のおすすめ宿「町家ゲストハウス三輪」
町家ゲストハウス三輪
【筆者撮影:町家ゲストハウス三輪での、ある日の朝食】
住所:奈良県桜井市三輪400
最寄り:JR三輪駅(大阪環状線、桜井線)
※古民家を改装した新築のような宿。オーナーの藤村さんご夫妻のお人柄が素晴らしく、三輪の話をたくさん聞かせてくれます。朝食が大変美味しく、全室個室の心のこもった宿です。ゲストハウスなのに、ヒノキのお風呂まであって、旅の疲れがとれますよ。
公式ホームページ:http://ghouse-miwa.com/
※看板猫の菜奈ちゃんが小さかった頃の写真です。菜奈ちゃんに会いたくてゲストハウスを訪問される方も多数いらっしゃるようです。
【町家ゲストハウス三輪の看板猫・菜奈ちゃん】
町家ゲストハウス三輪へのアクセス方法
JR三輪駅を出て、153号線を西に向かって230mくらい進みます。お食事の「鳥敏」さんの見える交差点がありますので、鳥敏さんの右側の側道に入って2軒目です。三輪駅から徒歩3分です。
※ちなみにこの鳥敏さんも非常に美味しい「隠れた名店」です。
狭井神社へのアクセス、場所
大神神社、狭井神社
住所:奈良県桜井市三輪1422
電話:0744-42-6633
最寄り:JR三輪駅(大阪環状線、桜井線)
JR三輪駅を出て、153号線を西に向かって、70mくらい進んだら右側の小さな側道に入ってください。三輪駅から大神神社まで徒歩10分、大神神社から狭井神社(登拝の入り口)まで徒歩10分くらいです。
大神神社と狭井神社の住所、電話番号は共通です。車で向かうならば、大鳥居(冒頭の写真の大きな鳥居)が目印です。
Advice
神社の敷地内に300台以上が収容できる無料の駐車場があります。(年末年始等は有料)
おわりに
いかがでしたか?
あの山は、神だ
JR東海のCMから、3年以上が過ぎ、
江原啓之さんにもパワースポットとしても紹介された「三輪山」
毎年、関東、東海、九州から
多くの旅人がやってきます。
はるか昔より「神様が宿る山」とは一体どんなところなのか?
歴史をちょっとのぞいてみませんか?
本記事の情報をもとに、初心者さんも、ぜひ、古事記や日本書紀の世界を体感しに、奈良にいらしてくださいね。
三輪山は、優しくあなたを受け入れてくれることでしょう。
先述した宿で 旅人に聞いた言葉で
いい場所には、神社がある
とのこと。
三輪の周辺には無数の温かい神社があります。